著者のコラム一覧
森暢平成城大学文芸学部教授

元毎日新聞記者。著書に『天皇家の財布』(新潮社)、『近代皇室の社会史』(吉川弘文館)、『皇后四代の歴史──昭憲皇太后から美智子皇后まで』(吉川弘文館、共著)、『「地域」から見える天皇制』(吉田書店、共著)などがある。

テレビ朝日がスクープ撮 小室圭さんの生活を揺るがす「職場さらし」は許されるのか

公開日: 更新日:

 9月24日から25日にかけて、民放各局による小室圭さん(29)の直撃映像。最も問題だと感じたのは、テレビ朝日が小室さんの職場ビルの映像をさらしたことである。

【写真】この記事の関連写真を見る(11枚)

「急成長している大手法律事務所で働いていることが分かった」というニュースだが、職場「特定」は、小室さんのこれからの弁護士業務への妨害ではないか。公益性・公共性のある情報だったのかという疑問を感じざるを得ない。

 テレビ朝日の25日朝のニュースは、小室さんの職場が判明したと伝えた。そのうえで、職場の外観を映しながら、「(事務所は)マンハッタン超一等地にあるこちらのビルで、17階にあるそうです」と紹介した。

 固有名詞こそ出されなかったものの、当然ながら、ネット民たちによって、すぐに事務所が特定された。さらにあろうことか、小室さんが仕事で使うメールアドレスや個人デスクの電話番号までさらされることになった。小室さんは、最先端テクノロジー会社の法務を担当するとのことだが、完全な業務妨害である。

 テレビ朝日の続報は「24日、法律事務所に入っていく様子や勤務先を出て車に乗っている姿をANNのカメラが捉えました」と報じた。映像はビルの外から隠し撮られたショット、さらには、乗用車の後部座席に乗る姿である。事務所に入る様子、車に乗る姿を「ANNのカメラが捉えた」ことがニュースなのだろうか。

 小室さんと秋篠宮家長女・眞子さま(29)は結婚し、一般人として暮らす。私たちはこれからも、小室さん夫妻がスーパーマーケットに入り買い物をする姿、電車に乗る姿を「わが社のカメラが捉えました」と無意味な「スクープ」として見せられ続けるのか。

結婚を反対する人が勤務先に接触のおそれ

 問題を感じるのは、小室さんと眞子さまの結婚に反対する一部から、ニューヨークのこの事務所にメールや電話で接触を試みる人が現れかねないことだ。この動きはすでに、宮内庁への抗議電話や、フォーダム大学へのメール問い合わせなどで見られるためである。こうした行為を煽るtwitterへの書き込みやYouTube映像が存在する。

 小室さんは私人である。これから弁護士としてニューヨークで活躍するはずだ。彼の弁護士生活の平穏を揺るがすような「職場さらし」は、本当に必要だったのか。

 小室さんは9月27日午後、日本に到着する。すでに、ネット上では「ちょんまげ」「ロン毛」「コムロン」「ポニーテール」などの揶揄で溢れている。カメラの前でポケットに手を入れた姿を批判する人たちがいる。

 小室さんの髪型をあげつらうことはハラスメントと断じていい。フジテレビが最悪の例であったが、報道が髪型などの見た目に焦点を当てることは断じて許容できない。人の見た目への揶揄が許されないことが理解できない人たちには絶望する限りである。

 こうなった以上、小室さんには、理不尽な日本社会の批判は一切無視してほしいぐらいの気持ちである。眞子さまがどんな人と結婚しても、眞子さまの選択である。「元皇族の夫らしく」振舞う必要はまったくない。

 テレビ朝日・平石直之アナウンサーはネット系討論番組の「ABEMA NEWS」の中で、

「結果、無視され続けたわけだが、後日記者会見を行うという報道もある。小室さんがイヤホンを取って『後日、会見でお話ししますので、今日はこれで失礼します』とひとこと言えば、それで終わっていた可能性もある」

「今回の小室さんの振る舞い方を見ると、私はもしかしたら『記者会見がないかもしれない』と思った。『もはや説明してもしょうがないし、僕たちはこのままいく』『いつまでも悪者扱いだ』と思っているかもしれない」

 こう主張している。

 国民の代表として取材し、その取材で見えてきたものがあるという主張である。そうだとしても、何をしてもいいということではない。

 2人の人生の素晴らしい門出に、足を引っ張る人たちが存在し、それを助長するようなテレビ局があることが残念でならない。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  2. 2

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞

  3. 3

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  4. 4

    元TOKIO松岡昌宏に「STARTO退所→独立」報道も…1人残されたリーダー城島茂の人望が話題になるワケ

  5. 5

    長嶋一茂は“バカ息子落書き騒動”を自虐ネタに解禁も…江角マキコはいま何を? 第一線復帰は?

  1. 6

    嵐ラストで「500億円ボロ儲け」でも“びた一文払われない”性被害者も…藤島ジュリー景子氏に問われる責任問題

  2. 7

    「コンプラ違反」で一発退場のTOKIO国分太一…ゾロゾロと出てくる“素行の悪さ”

  3. 8

    独立に成功した「新しい地図」3人を待つ課題…“事務所を出ない”理由を明かした木村拓哉の選択

  4. 9

    27年度前期朝ドラ「巡るスワン」ヒロインに森田望智 役作りで腋毛を生やし…体当たりの演技の評判と恋の噂

  5. 10

    "お騒がせ元女優"江角マキコさんが長女とTikTokに登場 20歳のタイミングは芸能界デビューの布石か

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ