<6>「談幸は付き合って損のない数少ない落語家であります」

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 1987年5月、談幸は真打ち昇進披露興行を寄席若竹と深川江戸資料館小劇場で開いた。

「師匠は披露口上で、私の前座時代のことを『完璧であった』と褒めてくれました。最後に、『談幸は迷惑をかけるような落語家じゃありませんので、くれぐれもお客さまの方が談幸に迷惑をかけないように』と笑わせて、ありがたい口上でした。おまけに、私がトリの高座に上がる際、前座から太鼓の撥を取り上げると、自分で太鼓を叩いてくれたんです。とっさの愛情を感じて、いい思い出になってます」

 私の手元に、談幸の真打ち昇進に配った口上書きがある。その中で談志は、「数多い弟子の中で談幸は、師弟の生活において<完璧>でありました」と絶賛し、最後に、「談幸は付き合って損のない数少ない落語家であります」と結んでいる。最高の褒め言葉だ。

 盆暮れに弟子が師匠にお中元とお歳暮を贈るのは落語界の慣例だ。談志一門には独特の方式がある。

「『今回は何がよろしいでしょうか』と伺って、師匠が欲しい物を弟子たちが金を出し合って贈ります。立川流になって弟子が増えてくると、その分、かなり高額な物が買える。大型冷蔵庫、クーラー、トイレのウォシュレット。ある年は浴室のリフォームという注文でした(笑い)。そんなお歳暮、聞いたことないでしょ。喉に蒸気を当てる吸入器がいいと言った時は、パンフレットを見せたら、そんなに高くないのがわかって、2つ注文しました(笑い)」

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