著者のコラム一覧
森暢平成城大学文芸学部教授

元毎日新聞記者。著書に『天皇家の財布』(新潮社)、『近代皇室の社会史』(吉川弘文館)、『皇后四代の歴史──昭憲皇太后から美智子皇后まで』(吉川弘文館、共著)、『「地域」から見える天皇制』(吉田書店、共著)などがある。

小室圭さん「皇室利用」に小木博明氏が根拠なく言及 フジ「バイキング」に問われる放送倫理

公開日: 更新日:

 もちろん、放送にあたって、マスメディアは報道の自由の観点から、真実性の確実な証明までは求められない。しかし、真実と信ずるについて「相当の理由」がなければ、名誉棄損に問われることになる。

 真実と信じるに足る「相当の理由」について、東京地裁の判決は次のように言っている。

「報道内容が十分に推定できる程度の確実な資料を数量及び質の両面において収集し、これを根拠にすることが必要であり、これらによらず、単に報道内容に沿う伝聞を主張する者或いは主観的憶測の域を出ない解釈や推定をなす者の供述や情報(略)だけでは不足というべきである。特に、報道される当事者が報道内容事実を事前に否定している場合には、右否定を虚偽、架空と断じ得る程度の資料が必要であ(る)」(1988年7月25日、『判例時報』1293号)

 小室さんは、入学に際しての「皇室利用」を明確に否定した。これを打ち消すには、「皇室利用」を真実と信じるに足ると推定できる程度の資料を質量ともに収集し根拠にすることが必要なはずである。

 小木氏、あるいはその発言を許したフジテレビは、小室発言を否定する根拠を何も示していない。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本中学生新聞が見た参院選 「参政党は『ネオナチ政党』。取材拒否されたけど注視していきます」

  2. 2

    松下洸平結婚で「母の異変」の報告続出!「大号泣」に「家事をする気力消失」まで

  3. 3

    松下洸平“電撃婚”にファンから「きっとお相手はプロ彼女」の怨嗟…西島秀俊の結婚時にも多用されたワード

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    俺が監督になったら茶髪とヒゲを「禁止」したい根拠…立浪和義のやり方には思うところもある

  1. 6

    (1)広報と報道の違いがわからない人たち…民主主義の大原則を脅かす「記者排除」3年前にも

  2. 7

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  3. 8

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  4. 9

    自民党「石破おろし」の裏で暗躍する重鎮たち…両院議員懇談会は大荒れ必至、党内には冷ややかな声も

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」