あれっ、俺のバットが…減量成功で体のキレが増してもイマイチ調子が上がらなかったワケ
1996年、39本塁打でプロ入り初のタイトルを獲得した。この称号を手にするまで、最後の最後にスッタモンダがあったことは前回書いたが、実はこのシーズンだけ、これまでとは違ったところがあった。
打者の生命線、バットだ。この年、沖縄での春季キャンプは22キロの減量の成果もあって体が軽く、守備練習も走塁練習も驚くほど楽だった。飛ばなくなってしまうんじゃないかと心配していた打球の飛距離も落ちず、体のキレが増してスイングがしやすくなっていた。
「でも、なんかおかしい」
振り遅れたり詰まったり、バットの出るタイミングにズレがあったり、しっくりこない。イマイチ調子が悪いなあ……そんなモヤモヤを抱いたまま、キャンプから2週間が過ぎた頃だった。
「調子も上がらんし、誰かのバットでも借りてみるか」
そう思ってベンチにズラリと立てかけてあった選手のバットに目をやった。そこに自分が使っていたバットを並べたとき、強烈な違和感に襲われた。


















