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荒木経惟写真家

1940年、東京生まれ。千葉大工学部卒。電通を経て、72年にフリーの写真家となる。国内外で多数の個展を開催。2008年、オーストリア政府から最高位の「科学・芸術勲章」を叙勲。写真集・著作は550冊以上。近著に傘寿記念の書籍「荒木経惟、写真に生きる。荒木経惟、写真に生きる。 (撮影・野村佐紀子)

<66>おじいちゃんになった? パッと出る笑いが「いいなぁ~」と思って撮っている

公開日: 更新日:

 雑誌『ダ・ヴィンチ』の“男ノ顔”ね(巻頭グラビア連載「アラーキーの裸ノ顔」)、始めてから24年が経つんだよ。20年以上続けてきて、今はとにかくスタジオで撮りたいんだ。で、バックは無地にしたい。見る人が、どれだけその人のバックを想像できるか、写された本人は、自分の人生がどれだけ見えるか、感じられるかって、撮ってるね。最近は、なんでもないときにパッと出る笑いとかが、いいなぁ~と思ってるんだよ。だから今は、笑顔を撮る肖像が多いんだ。男だけじゃなくて、女性もね、笑顔。やっぱり笑顔がいいよねぇ。そういう気持ちで撮ってる。おじいちゃんになったのかな、アハハ。

“男ノ顔”の第1回は、たけしさんのポートレートでね。バイク事故の3年ぐらい後で、賞をとったあの映画を撮ってた頃なんだよ(1997年、北野武監督作品『HANA-BI』が第54回ヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞を受賞)。そのときは、スタジオじゃなくて、たけしさんにテレビ番組の収録の途中に廊下に出てきてもらって撮ったんだ。

“男ノ顔”が200回を超えて、それまでに撮ってきた男の顔で写真展をやったときには、「男の顔は“たけしから武だ”」って言って、たけしさんのポートレートを撮らせてもらった。今度はスタジオで撮ったんだ。バックは無地で、たけしさんとサシでね(1997年から2014年に撮影した、各界で活躍する男性200人以上のポートレートによる展覧会を2015年に開催。連載49に掲載)。

横顔を撮るのはやめようと思ったんだ

 このジャイアント馬場さん、“男ノ顔”の連載が始まった頃に撮ったんだよ。このときね、ともかく横顔はやめようと、横顔を撮るのはやめようと思ったんだ。その頃、いつも馬場さんの写真は横顔を出してさ、長さを出して、顔の長さを強調してやるじゃない。オレは、それはやめようと思ったんだ。だから、真っ正面しか撮らなかった。そこんところが、オレの弱いところっつうか、う~ん、でもね、それで通すんだ。

 これはね、ジャイアント馬場さんの横に並んでみたかったんだよ、どうしても。すごいよ、大きくてね、オレ、馬場さんの肩までないんだよね(笑)。

(構成=内田真由美)

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