綾瀬はるか「元彼の遺言状」が録画視聴や見逃し再生で高支持も…素直に喜べないワケ

公開日: 更新日:

 春ドラマもいよいよクライマックスだが、どの番組が人気なのか。最新話の世帯視聴率では、「マイファミリー」(TBS系)、「未来への10カウント」(テレビ朝日系)、「特捜9」(同)が高く、「元彼の遺言状」(フジテレビ系)が続いている。

 もう一つの目安となる録画視聴率では、「元彼」「マイファミリー」、「インビジブル」(TBS系)の順だ。TVer再生の「お気に入り」は「元彼」の約90万がダントツで、「マイファミリー」「インビジブル」も多い。

 日曜夜の「マイファミリー」が世帯視聴率で高いのは当然として、録画視聴でも見逃し再生でもトップの「元彼」は、「必ず見る」という“支持度”では最も上ということになるだろうか。

 しかし、テレビ局や制作スタッフはいま、こうした数字を人気のバロメーターとして素直に受け取れなくなっている。どういうことか。

「テレビドラマの倍速視聴やネタバレ視聴が、いよいよ広がっているんです。録画して早送りやTVerの×1.75で見るのが倍速、先に結末を知って面白そうだったら戻って見るのがネタバレです。凝った布石を仕掛けたり、俳優がじっくりと心の内を演じても、まどろっこしいと飛ばされてしまう。それでも視聴率にカウントされるので、数字はいいのですが、ちゃんと見られていないんです」(テレビ番組制作会社幹部)

 視聴者の約35%が倍速視聴をしていて、20代は半数以上になるという。ときには1時間ドラマを10分で見てしまうというから、俳優も制作スタッフもがっくりだろう。では、倍速されやすい春ドラマはどれか。

「未来への10カウント」倍速視聴が減ったワケ

「ストーリーが複雑すぎて、初めからしっかり見てないと付いていけないドラマは、疲れるからとネタバレ視聴されやすいですね。『マイファミリー』や『インビジブル』などはそうでしょう。『元彼』は逆に謎解きが単純で、犯人がすぐわかってしまうので早送りされます。それをコメディー路線に振ることで食い止めようとしているのですが、見どころは綾瀬はるか大泉洋のコントのようなやりとりだけ。早送りと再生を頻繁に切り替えて、そこだけ拾われてしまっているのではないでしょうか」(放送作家)

 テンポが悪くて、倍速でないと見続けられないのが、「金田一少年の事件簿」(日本テレビ系)や「持続可能な恋ですか?」(TBS系)だろうか。

 一方、終盤になって倍速視聴が減っているのが「10カウント」である。前出の放送作家はこう見る。

キムタクの一本調子の芝居をコミカルな満島ひかりがカバーしていて、ツーショット以外でも、ほとんどのシーンでどちらかが登場しているんですね。退屈させないこの演出がうまくいって、リアルタイムで見る人が増えているのでしょう。世帯視聴率が急回復しているのはその証拠です」

 かつては視聴率男のキムタク。いまは「倍速視聴させない男」というわけだ。

(コラムニスト・海原かみな)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし