さだまさし、桑田佳祐ら令和時代に響く「声なき反戦歌」60年代との違いは?

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 ♪わたしは君を撃たないけれど、戦車の前に立ち塞がるでしょう

 シンガー・ソングライターのさだまさし(70)は、そう新曲「キーウから遠く離れて」で歌う。

「殴られたら殴り返す感覚というか、おかしいと思うことが起きたら声に出さなくてはいけない」「ここで歌わずにいつ歌うの? と思う」などと、各紙インタビューでコメントしている。

 一方、桑田佳祐(66)が作詞・作曲し、同世代の歌手4人と組んだシングル「時代遅れのロックンロールバンド」を配信、平和への思いを歌っているほか、南こうせつ(73)、武田鉄矢(73)はさだまさしと共にイベントで反戦歌を響かせている。

 米国の軍事介入で泥沼化したベトナム戦争では、反戦フォークの波が日本でもひろがり、ピート・シーガーの「花はどこへ行った」、ボブ・ディランの「風に吹かれて」、そしてジョン・レノンの「平和を我等に」「イマジン」を集会で合唱し、熱く議論する姿がそこここでみられたものだ。日本でも美空ひばりの「一本の鉛筆」など、反戦歌とされる楽曲は少なくない。60年代、70年代を生きた、もしくは時代を知る中高年世代からしてみると、「今の若い世代は反戦を歌わないのか」と言いたくなるかも知れない。

■反戦歌に聞こえる米津玄師の楽曲

 日本の音楽シーンに詳しい構成作家チャッピー加藤氏はこう言う。

「あからさまに戦争反対を叫んでいないだけで、反戦や平和をモチーフにした曲はそこここにありますよ。平成生まれの米津玄師の『POP SONG』など、CMソングとしても流れていますが、ウクライナ侵攻ニュース映像を見たあとで聴くと反戦歌に聞こえてくると言われています。理不尽な社会で、まっとうに、普通に幸せになりたいのにと思いながら、つらい思いをしている。そんな社会とのつながり、葛藤は昔も今もなく、アーティストであれば、歌や曲で表現していると思いますよ。ただ、60年代と比べるとより内省的というか、伝わる人、分かる人にだけ分かればいい、届いて欲しいというような表現になっている。直接的に思いを発信したり、メッセージを叫んだりすると、すぐに炎上し、バッシングされる今の世の中ですからね」

尾崎豊の没後30周年

 そうした、暗号のようなメッセージを聞く側はどのように思っているのか。肩を組んで合唱したり、拳を突き上げる姿もコロナ禍ということもあってか、とんと見ない。

「ことしは尾崎豊の没後30周年にあたり、展覧会が開かれましたが、尾崎は珠玉のラブソングだけでなく、反戦、平和を歌った楽曲も残しているんですね。タイトルから『核』だったり。会場ではそんな尾崎のメッセージに反応し、食い入るように見つめる若者たちの姿がありました。彼らも声高には言わないけれど、何の罪もないような子供や女性までが殺されていくニュースを見聞きして、愛する人がそうなったとしたらどうしたらいいのか、どう守ればいいのか、考えていると思う」(加藤氏)

 令和の21世紀の日本で、声なき反戦歌が響いているようだ。

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