著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

2015-2022「那須川天心vs武尊」の記録(中)武尊を翻意させた那須川天心の快進撃

公開日: 更新日:

「武尊は那須川選手から“逃げている”とSNSで誹謗中傷されダメージを受けた。イメージダウンでスポンサー6社が離れた事実がある……」といった内容なのだが、筆者の見る限り、これを額面通りに受け取った関係者は皆無だった。「二度とK-1に関わるな」という警告的な訴訟だったとみてよく、これ以降、天心の口から武尊戦を熱望する声は聞かれなくなった。「これ以上関わったらやばい」という判断があったのは疑いようがない。“夢の対決”は完全についえたと誰もが思った。

 しかし、そうならないのが人間の妙である。口火を切ったのは意外にも武尊の方だった。18年12月8日、K-1大阪大会のリング上で「時期はわからないんですが、必ず実現させようと思っている。勝つ気でいる」と名前こそ出さなかったが天心戦に言及。さらにバックヤードで報道陣を前に「本当に難しいことがあって……やるなら言い訳できない状態でやりたい」とコメント。何があったのかはわからないが、武尊から歩み寄ってきたのだ。

 それを聞いた天心の反応は微妙なものだった。「ようやく向こうからやるって言ってきたんですね。形だけで言っているのか、本当に言っているのか、まだわからない」と、訴訟の件もあってか、受け流した。ファンがSNSで表記するのも「武尊対天心」だった4年前と打って変わって「天心対武尊」になっていた。天心にとって、もはや武尊は追いかける存在ではなくなったことを意味した。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    名球会入り条件「200勝投手」は絶滅危機…巨人・田中将大でもプロ19年で四苦八苦

  2. 2

    永野芽郁に貼られた「悪女」のレッテル…共演者キラー超えて、今後は“共演NG”続出不可避

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    07年日本S、落合監督とオレが完全試合継続中の山井を八回で降板させた本当の理由(上)

  5. 5

    巨人キャベッジが“舐めプ”から一転…阿部監督ブチギレで襟を正した本当の理由

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    巨人・田中将大が好投しても勝てないワケ…“天敵”がズバリ指摘「全然悪くない。ただ…」

  3. 8

    高市早苗氏が必死のイメチェン!「裏金議員隠し」と「ほんわかメーク」で打倒進次郎氏にメラメラ

  4. 9

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  5. 10

    三角関係報道で蘇った坂口健太郎の"超マメ男"ぶり 永野芽郁を虜…高畑充希の誕生日に手渡した大きな花束