「歌う看護師」入山アキ子さん 防衛技官、看護師長の肩書も捨て、転身を決意した理由

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入山アキ子さん(歌手/53歳)

 国家公務員の看護師から演歌の世界へ──。芸能界広しといえども、入山アキ子さんの経歴は異色中の異色だろう。最初のCDは自費出版からスタートし、その後、テイチクからデビュー。「歌う看護師」として注目の存在だ。歌手に転身したきっかけを語ってもらった。

 ◇  ◇  ◇

 歌がもともと大好きで、高校時代はバンドを組んでアン・ルイスの歌などを歌っていましたね。その一方で、放送部に所属して「NHK杯全国高校放送コンテスト」に2年連続で故郷・山口県の代表に選ばれたりして、アナウンサーにも憧れていたんです。

 でも、家が貧しくて高校卒業後はアナウンサーどころか進学もできないと思っていました。ところが、3年の時の担任の先生が授業料が無料で全寮制で手当もいただける防衛医科大学校を教えてくれたんです。「お金がなくても学べる!」と埼玉にある防衛医科大に進学しました。小学校の時に骨折して入院し「看護師さんってすてきだな」と思ったことがあったのも影響しましたね。

 防衛医科大で防衛技官として最年少で役職につけていただき、20代で胸部外科主任に。やり甲斐があったし、呼吸療法認定士の免許も取得できたので「この仕事を一生続けよう!」と誇りをもっていました。防衛医大から民間の病院に移った時は看護師長として抗がん剤治療の看護責任者も任されました。

 夜勤の時は患者さんを1時間おきに見回るのですが、手術直後の年配の患者さんが「痛い」「苦しい」「死んだ方がよかった」と嘆かれる。気分転換をしていただくにはどうすればいいか。「そうだ! 歌を聴かせて差し上げよう」と思いつき、何が好きかを聞いて「りんごの唄」や「東京ラプソディ」など耳元でワンフレーズ歌ったり。すると1時間後の巡回では寝息を立てている……。そんなことが何度もあり、歌の力に気づいたんです。

 27歳の時、優勝賞品の北海道旅行にひかれ、作曲家の鈴木淳先生が会長を務める「全国歌の甲子園」というカラオケ大会の埼玉大会に友だちと出場し、優勝したのがきっかけで月1回3時間、先生のレッスンに通うようになったんです。

 先生は同じ山口出身ということもあってかわいがってくださった。プロは厳しい世界だから、歌は楽しむだけという約束でレッスンしてくださって、さまざまな場所で歌う機会もいただきました。

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