著者のコラム一覧
本多正識漫才作家

1958年、大阪府生まれ。漫才作家。オール阪神・巨人の漫才台本をはじめ、テレビ、ラジオ、新喜劇などの台本を執筆。また吉本NSCの名物講師で、1万人以上の芸人志望生を指導。「素顔の岡村隆史」(ヨシモトブックス)、「笑おうね生きようね いじめられ体験乗り越えて」(小学館)などの著書がある。新著「1秒で答えをつくる力──お笑い芸人が学ぶ『切り返し』のプロになる48の技術」(ダイヤモンド社)が発売中。

中田ボタンの巻(上)「文句があんねやったら、わしに直接言うてこい!」

公開日: 更新日:

 2019年3月から体調不良で休養されていた中田ボタンさんとのマネジメント契約を双方の合意により終了すると、2月20日に吉本興業から発表されました。

 本来は師匠と呼ぶべきですが40年近くにわたって一緒に仕事をさせていただき、ずっとそう呼んできたので“ボタンさん”と呼ばせていただきます。

 まだ駆け出しだった頃、楽屋で初めてお会いした時に「おはようございます!」と挨拶すると「なんや自分(君は)?」と鋭い目で睨まれ「阪神巨人さんの(漫才)台本を書かせていただいております、本多と申します」と名刺をお渡しすると「漫才作家、本多正……どない読むねん?」「まさのりです」「こんなん“のり”て読むか? 無理やりやな?」と優しい目になって「なかなか食われへんぞ(生活できないぞ)。そうか漫才作家か、辛抱して頑張りや。またウチのも書いてや」「ぜひ、お願い致します!」「その代わり、おもろないとアカンぞ」と温かい視線でニヤッと笑われた顔を今でも覚えています。

 当時、芸人・スタッフ間で行われていた「抱かれたい芸人」投票では、ダントツの1位。とにかくカッコいい! 竹を割ったような性格で礼儀はきちっとされていましたが、会社や放送局の“偉いさん”にもおもねることなく、誰に対しても真摯に平等に向き合っておられました。楽屋で芸人さんたちが話していても、“オチ”のおいしいところは必ずボタンさんが一言で決めてさらってしまい、残ったみんなが腹を抱えて大爆笑するという光景を何度見たことか。返しの瞬発力と破壊力は群を抜いておられました!

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