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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

中村倫也主演「ハヤブサ消防団」は山奥の集落でも池井戸ミステリー

公開日: 更新日:

 池井戸潤の小説が原作のドラマと聞けば、やはり気になる。木曜ドラマ「ハヤブサ消防団」(テレビ朝日系)のことだ。しかも物語の舞台は銀行でも町工場でもない。山奥の小さな集落である。それでいて、あくまでも「池井戸ミステリー」なのだ。興味津々、13日の初回を見てみた。

 主人公はミステリー作家の三馬太郎(中村倫也)。かつて「明智小五郎賞」受賞で注目されたが、その後はあまり売れていない。ふとしたことから、山間部のハヤブサ地区に移住することを決意。そこには母と離婚して長年疎遠だった亡父が暮らした、古い民家があった。

 ストレスも減って、執筆もはかどる太郎。最大の変化は地元の消防団に参加したことだ。工務店勤務の勘介(満島真之介)をはじめ、団員たちとの交流も始まる。実は、この地区では連続放火と思われる火事が頻発していた。のどかな山村での陰湿な事件。放火犯かと疑われていた男性の住民が遺体で見つかり……。

 ゆったりした風景の中、ミステリアスな事態がいいテンポで進んでいく。また集落全体をフルに使ったロケーション映像がドラマにリアル感を与えている。そして、クセの強い消防団の面々。

 生瀬勝久、梶原善、橋本じゅん、岡部たかしらドラマ好きにはたまらないキャスティングだ。茫洋としていながら観察眼が光る主人公はもちろん、彼らからも目が離せない。

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