「恋のバッド・チューニング」は記録より記憶に残る“純粋なるキワモノ”
率直に言えば、いかにもキワモノという感じだった。むろん「TOKIO」の巨大パラシュートもキワモノだったのだが、何というか、時代的な意味性もあったので印象はもう少し混沌としていたように思う。
対して、こちらは純粋なるキワモノ。「昨日のジュリー見たか? あんなん、ちょっとやり過ぎやなぁ」などと学校で会話したことを覚えている。
そのせいか、今となっては「TOKIO」に比べ作品としての価値が低く見積もられているような気がする。だが、逆に言い換えるとキワモノはニューウェーブそのものだということだ。
そして「TOKIO」に比べて、サウンドとしてのニューウェーブの体現度もマシマシ。今から考えればそのあたりをもっと評価されてもよかった作品だと思う。
「作詞・糸井重里、作曲・加瀬邦彦、編曲・後藤次利」というトリオは「TOKIO」と変わらない。まだまだニューウェーブに腰の重い沢田研二をけしかけるトリオである。
また、早川タケジによるシングルジャケットは相変わらず白眉。テレビでの衣装とは異なる銀色のジャケットに黒のボトムス。ハムバッカーのピックアップが3つも付いたヘンテコなエレキギターを持つ沢田研二は、キワモノを超えてイロモノという感じ。気分はもう「ニュー・ニューウェーブ」である。
80年代の沢田研二は、とにかくキワキワの線を突き進む。その先導役としてひた走る早川タケジ自身に迷いがないのでキワキワの線から崖に落ちずに済んだのだと思う。




















