著者のコラム一覧
島田裕巳宗教学者、作家

1953年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。宗教学者、作家。現在、東京通信大学非常勤講師。「葬式は、要らない」「死に方の思想」「日本の新宗教」、「日本人にとって皇室とは何か」など著書多数。

天皇皇后「空海展」鑑賞で見えた“祈られる天皇”の姿…今も京都で続く「玉体安穏」とは

公開日: 更新日:

 8月18日の夜、天皇皇后は、上野の東京国立博物館で開かれている「空海と真言の名宝」展を鑑賞に訪れた。この展覧会は、真言宗の開祖である空海の生誕1250年を記念して開かれたものである。

 ただ、高野山金剛峯寺などが所蔵している空海ゆかりの秘法が出展されてはおらず、その点では今までの空海関係の展覧会に比べて、地味な印象を与えるものとなっている。

 しかし、天皇にとっては、この展覧会は実に興味深いものだったはずである。というのも、かつては宮中で行われていた「後七日御修法(ごしちにちみしほ)」という儀式に関係する展示があったからである。

 空海については、唐にわたるまでどういった人生を送ったのかが明らかではない。ただ、名筆と言われる空海の書には、中国の書聖・王羲之などの影響があり、その実物に接する立場だったことになる。

 そうした貴重な書を所蔵していたのは朝廷であり、空海はそれにつらなる人脈を持っていた。唐からの帰国後、嵯峨天皇などと密接な交友が可能だったのも、空海が名門の家の出であったことを示している。

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