遅刻癖を仲代達矢が一喝「おまえは時間通りじゃなく、1時間、2時間前に来ておけ」

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 こういう映像面での活躍の傍ら、「無名塾」でも得難い友人と出会う。それが彼の2期下で入塾してきた益岡徹である。役所と益岡はよく一緒に酒を飲みに行って、酒のにおいをさせながら塾の稽古をしたという間柄。その後、益岡は映画「マルサの女2」(88年)で演じた新人査察官役で注目を集め、役所の映画にも「東京原発」(2004年)や「象の背中」(07年)、役所の初監督作品「ガマの油」(09年)、最近の「銀河鉄道の父」(23年)まで、役所の出演作によく助演している。「彼がいると安心できるんです」と役所は語ったことがあるが、俳優としての青春時代を一緒に過ごした友として、益岡は特別な存在なのだろう。

「徳川家康」の翌年、NHKでは水曜日に時代劇枠を新設し、その第1弾として吉川英治原作の「宮本武蔵」(84~85年)を1年間放送した。役所は主役の宮本武蔵に抜擢される。これが彼の初主演ドラマで、荒々しくもパワフルな青年・武蔵をはまり役で演じた。宿敵・佐々木小次郎を演じた中康次も新人で、そのフレッシュな合わせが話題を呼んだ。これによって役所広司には、時代劇俳優のイメージが付きまとうことになる。(つづく)

(映画ライター・金澤誠)

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