渡辺えりさん「恋人と手をつないだりイチャイチャしてみたい。認知症と思われるかしら(笑)」
今月は唐十郎作「少女仮面」を42年ぶりに
私がこのところやってきたこと、これからやりたいことを具体的にお話しします。
まず、今月は唐十郎追悼公演「少女仮面」があります。私が主演の伝説の宝塚のスター、春日野八千代を演じたのは28歳の時です。70歳になってやる役じゃないかもしれないけど、あの時の評判がよくて、唐さんの奥さんや、今回出演する息子の大鶴佐助さんからもう一回やってほしいとずっと言われていました。それでも、できないだろうと諦めていたんですよ。ただ、今、ここでやらないとやらずに終わってしまう。そう考えて70歳になって、「少女仮面」で春日野を演じます。
出演する黒島結菜ちゃんは今年1月、本多劇場でやった「鯨よ!私の手に乗れ」にも出てくれました。「少女仮面」で最後に全体の空気をガラッと変えるのは、春日野が憧れる甘粕大尉です。今回、唐十郎の戯曲が好きで以前からお付き合いのある方にお願いしたら、みなさん快く引き受けてくださった。竹中直人さん、中村獅童さん、尾上松也さんに加え、宝塚のスターの安奈淳さん。春日野が宝塚のスターだから、安奈さんが甘粕大尉を演じるのは多重的で面白いと思います。
お芝居をやろうと思った始まりは16歳の時に故郷・山形の県民会館で見た芝居です。その影響を受け、生きているうちにやりたいと思ったお芝居が何本もあります。
5年前には尾上松也さんとの2人芝居で別役実さんの戯曲「消えなさいローラ」をやり、2年前に「消えなさいローラ」「ガラスの動物園」を連作でやることができた。「ガラスの動物園」は文学座の長岡輝子さんが演出と主役のアマンダをやったのを見て感銘を受けた作品。尾上さん、吉岡里帆ちゃん、和田琢磨さんに出てもらいました。
3年前には清水邦夫さんの戯曲「ぼくらが非情の大河をくだる時」もやりました。山形時代に、私が大泣きした作品です。いつかやろうと思っていました。
これだけ次から次にやるのが無謀なことはわかっています。正直、フラフラでした。もしかしてできないんじゃないかとギリギリまで追い詰められながらやりました。
それらをやって、今年は「りぼん」と「鯨よ!私の手に乗れ」というフェミニズムがテーマの芝居を本多劇場でワンセットでやろうと思っていたら、1月しかスケジュールが取れないというので、それもやりました。出演者は43人、2本連続です。周囲からはできっこないと言われたけど、みんなの協力でできちゃった。しかも、評判がよくて。やる気になれば、できるんですね。
ただ、私がくたびれちゃって。もうクタクタ。そして今月は「少女仮面」です。できるだろうかという不安もありますが、立てた計画はひとつずつ実現していきます。