「ラ・コシーナ/厨房」は大型レストランを舞台にした米国分断の縮図だ

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 英国人の劇作家アーノルド・ウェスカーが1959年に書いた戯曲を映画化。66年も前の戯曲だが、いかにも今日的テーマとなっている。

 800ドルの紛失を入り口に、ペドロとジュリアのどんよりとした恋愛が描かれ、彼らを中心に米国で働く人たちの怨嗟と絶望の声が次々と飛び出す仕掛けだ。白黒画面の中でコックとウエートレスが縦横無尽に動き回る光景は圧巻。まるで戦場だ。巧みな演出に圧倒されてしまった。

 大型レストランの厨房では白人や黒人、メキシコ人、コロンビア人などさまざまな人種が働いている。多くは永住権のある移民ビザを渇望し、オーナーのラシッドは彼らの足元を見て労働意欲を高めようとする。

 白人女性だが妊娠に悩むジュリア。アメリカ人になれない鬱憤を抱えながら我が子の誕生を夢見るペドロ。この2人の立ち位置だけで男と女の違い、アメリカ人と非アメリカ人の違いが浮き上がってくる。

 ペドロは何に苛立ち乱暴になるのか。本作のアロンソ・ルイスパラシオス監督は「激務のせい」と解説。厨房の仕事は重労働で、まかない料理はお粗末。料理には従業員の汗が入っている。それらを踏まえてこのレストランを「アメリカ人と外国人といった分断を抱えた空間であり、現代社会のメタファーだ」と言い切る。その通りだ。

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