「SENSEKI」逼塞の蘭学者が失明を乗り越えて挑む国防のライフワーク

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胸に響く論語の一言

 泉石は当時の一流の知識人である。オランダ語、ドイツ語、ロシア語を学び、長崎のカピタンなどを通じて西洋、東洋の幅広い情報を収集。地図や書物など膨大な資料を集めた。カステラを自分で作り、コーヒーを入れて来客にふるまった。今風に言えばハイカラな通人である。

 その上で「愚意摘要」なる意見書をしたためた。そこに書いたのは、諸外国の圧力にさらされた日本の将来を左右する先見的な提言だった。

 主君の不興を買って隠居に追いやられたのが61歳の時。そこから73歳で死去するまでの12年間、泉石は逆境に甘んじることなく、常に日本の国際的状況を観察し、解決策を模索した。研ぎ澄まされた政治家の目と堅固な使命感を持っていたのである。

 60代後半の筆者はこの映画を見て、「俺も頑張らなきゃ」と痛感させられた。あと何年生きられるか分からないが、鷹見泉石のように学び、事にあたって人から意見を聞かれるような立場でありたいものだと。

 劇中、泉石は論語の一言を口にする。

「未だ生を知らず、いずくんぞ死を知らん」

 見終わったとき、この言葉がずっしりと胸に響いたのだった。

(文=森田健司)

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