最新回の朝ドラ「ばけばけ」ウラの見所~しめこ汁に“朝から残酷”の声もあるけど…ピーターラビットの話を思い出す

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コクハク

第1週「ブシムスメ、ウラメシ。」#4

【朝ドラのツボ!】

 突如、トキ(福地美晴)やフミ(池脇千鶴)、勘右衛門(小日向文世)の前から姿を消した司之介(岡部たかし)。何日経っても家に帰ってこない司之介に、松野家の不安は募っていく。

 そんなある日、登校途中のトキは司之介を発見する。「家に帰ろう!」と声をかけるトキだったが、司之介はかたくなに帰ろうとしない。松野家の行く末はどうなる!?

 一方、アメリカではレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ)がこの世に絶望していた。

【こちらもどうぞ】「ばけばけ」は往年の名作を越えられるか? 「虎に翼」から続く岡部たかしの“父親”像が楽しみだ

【本日のツボ】

しめこ汁
 ※※以下、ネタバレあります※※

 うさぎバブル、弾けてしまいましたね。「ばけばけ」スタート前の番宣で、ヒロインの家がとてつもなくみすぼらしかったので、こうなることは予想がついていましたが、それにしても、始まって3日目でもう莫大な借金を背負ってしまうとは…。

「あさイチ」の鈴木奈緒子アナにも、「朝ドラ名物ダメなお父さん決定」と言われてしまった司之介、不憫です。おかげで、トキは100年通えるはずだった小学校に1日も通えなくなりました。

 川べりで野宿していた父を、家に連れて帰ろうとするトキの熱演が光ります。「おいしくないの。しじみ汁が…」と父に訴え、「帰ろう帰ろう…」と。途中で、母・フミも加勢します。

 その言葉に、「しじみ汁がおいしければよいか?」「父が帰って一家4人家族楽しく暮らせればそれでよいか?」と父・司之介。その言葉に「うん」「うん」と頷くトキ。

 感動の名場面か、と思いきや、最後に出たのが、「では、働いてくれるな? 明日から」という言葉。いったんは「うん!」と元気よく答えたものの、「えっ、えっ、えっ? 働く?」とトキ。悲惨な状況なのですが、この親子のやりとりにある可笑しみに思わず笑ってしまいました。

 食べるものも無くなった松野家。その日のお夕飯は「しめこ汁」。その具はなにかと思えば、飼っていたうさぎさんたちでした。それにしても、一気にしめてしまうとは! 勘右衛門が可愛がっていたウサ右衛門くらいは残してあげてもよかったのに…と。

「ピーターラビット」を思い出す

 朝から“残酷過ぎる”との声もあるようですが、それで思い出したのが、「ピーターラビットのおはなし」です。

 その冒頭で、ピーターのおかあさんが子どもたちに「マグレガーおじさんの畑にだけは、行ってはだめですよ。お父さんはね、マグレガーおばさんに、パイにされてしまったのですからね」と話す場面がありました。

 で、おとうさんのイラストは、うさぎではなくパイなのです。

 子どもの時は気づきませんでしたが、大人になってある時、「ピーターラビット展」で、ピーターの家系図のお父さんのところがパイになっていて仰天しました。

 イギリスがパイなら、日本はしめこ汁。どう転んでもうさぎは食べられてしまうってことで。

 トキはうらめしいことがあると怪談をせがむ設定。こうして、たくさんの怪談がフミからトキへそして、ヘブンへと継承されていくということなのですね。

 と、思ったら場面は切り替わり、アメリカのヘブンが出てきました。新聞記者の職を失い、世をはかなみ、ピストル自殺しようとしたものの、銃弾もない…というこちらもかなりのうらめしぶりです。

 最後に「二人が出会うまで5612日」とテロップが出ました。たしかに、国も年齢も違う二人がどういうかたちで結ばれることになるのか、興味がそそられます。カウントダウンの数字にも注目していきましょう。

(桧山珠美/TVコラムニスト)

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