「星降る海」ほしおさなえ著
「星降る海」ほしおさなえ著
両親の顔も知らず、呉服屋の初代夫婦の養女として育った琴子は、着物に宿る記憶が見えるという不思議な能力を持つ。今は、3代目の次男の柿彦が本店から独立して営むリユース着物専門店で査定役をしている。
ある日、本店の物置部屋の桐箱から3枚の着物が見つかり、2枚の江戸小紋は初代の妻の志寿が若いときに着ていたものと判明。残りの手描き友禅の訪問着の持ち主が分からず、柿彦から琴子のものではないかと問い合わせがある。琴子にも覚えがないが、柿彦が持参した友禅を手にすると一瞬だけ聞き覚えのある歌声が聞こえる。さらに驚くことにその友禅の絵柄は琴子が何度も夢に見た着物の絵柄と似ていた。
織物の町・八王子を舞台にした「琴子は着物の夢を見る」シリーズ第3巻。
(角川春樹事務所 726円)