「ショスタコーヴィチ」亀山郁夫著
「ショスタコーヴィチ」亀山郁夫著
今年、没後50年を迎えたロシアの作曲家ドミートリイ・ショスタコーヴィチ(1906-75)は、世界の音楽市場においてゆるぎない地位を得ているものの、その作品は伝統的な西欧のクラシック音楽になじんだ耳には異質に聞こえる。ゆえに熱狂的な支持者がいる一方で、徹底してアンチを主張して批判する人も存在する。
1920年代、ソ連では社会主義リアリズムというイデオロギーの規範に従わないものは容赦なく罰せられ、若くして世界的な作曲家として認知されたショスタコーヴィチといえども、独裁権力が求めるものへの迎合という厄介な問題と常に向き合わなければならなかった。
歴史的状況下の中で、彼の音楽がどのように生まれたのか、その人生を詳細にたどる力作評伝。
(岩波書店 2046円)