(3)注射か?ジェルか? テストステロン補充療法の最前線
「最近どうにもやる気が出ない」「疲れが抜けない」。そんな男性に対して、実際の外来で行われているのが「テストステロン補充療法」です。いわば、失われた“元気ホルモン”を補って心身を再び動かす治療です。
男性の更年期障害は医学的には「LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症)」と呼ばれます。性機能の低下だけでなく、慢性的な疲労や気分の落ち込み、集中力の欠如を訴えるケースが多く、「EDがつらいから来ました」という患者はむしろ少数派です。
治療の中心は注射によるホルモン補充。1回で血中濃度がグッと上がるため効果は強いのですが、7~10日ほどでピークを迎え、その後は急降下。この“波”によって体調が不安定になることもあります。そこで注射とあわせて、ジェルやクリームを使う方法が注目されています。
ジェルは朝晩、皮膚に塗布するだけ。陰嚢や太もも、首などに1~2プッシュすればよく、来院の手間も減ります。濃度を自分で調整できるため、症状に応じて柔軟に使えるのがメリットです。国内でよく知られているのはテストステロン1%製剤「グローミン」。最近では5%の高濃度製剤も登場し、外来での活用が広がっています。