「配達員が自由に出入り」炎上騒動…改めて突きつけられたオートロックマンションの防犯・再配達問題
国土交通省が「配達員が自由にオートロックを解錠できる仕組みを導入する」というウワサがSNSで拡散し、国交大臣が否定する事態に発展した。発端は9月上旬、読売新聞が国交省の令和8年度概算要求に基づき「共通システム開発費用を補助」と報じた記事である。時期的に、マンション侵入事件が相次いで報じられていたこともあり、防犯上の不安が一気に噴き出した。
■「全くの事実無根」
だが、中野洋昌国交相は16日の会見で「全くの事実無根」と否定。国交省は、すでに民間が導入している仕組みのセキュリティー確保や業者間の連携の支援を検討しているに過ぎない、としている。
「今回の混乱は、概算要求に関する報道を『共通システム=共通キー』と短絡的に解釈した言説に端を発している。概算要求は政策の方向性を列挙する段階にすぎないが、見出しやSNSでの拡散を経て、『国交省が危ない仕組みをつくる』という誤解に変質した」(全国紙記者)
置き配はネット通販の拡大で需要が急増する一方、再配達率の高止まりという物流危機解消の切り札とされている。課題はオートロック付きマンションだ。全国の共同住宅の4割超がオートロック付きとされる一方で、宅配ボックスの設置は場所や費用の面で制約がある。