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菅谷齊東京プロ野球記者OBクラブ会長

1943年、東京都生まれ。共同通信社でV9時代の巨人をはじめ、阪神などを担当。1970年代からメジャーリーグも取材した。野球殿堂選考代表幹事を務めたほか、三井ゴールデングラブ賞設立に尽力。現在は東京プロ野球記者OBクラブ会長。

「歯痛」と「寝違え」が“超珍奇跡”、監督不在の完全試合に繋がった

公開日: 更新日:

 投手の「究極の夢」は完全試合。過去16人が達成しているが、監督不在の試合で大記録という唯一の体験者がロッテの八木沢荘六(作新学院-早大)だった。

 1973(昭和48)年10月10日、杜の都・仙台での太平洋戦。ダブルヘッダーの第1試合に先発した八木沢はスコア1-0で快挙を成し遂げた。投球数94、内野ゴロ7、内野フライ3、外野フライ11、三振6。制球抜群で3ボールが一度もなかった史上初の技巧でもあった。

 当時のロッテ監督は“黄金の左腕”こと400勝投手の金田正一。この年から指揮を執り、派手なパフォーマンスでパ・リーグの観客動員増の立役者になった。記録達成は前後期2シーズン制の後期での消化試合。金田はなぜベンチにいなかったのか。

 表向きは「歯痛で医者通い」が理由だったけれど、関係者の間では「遠い仙台での消化試合だから……」と疑惑の声も。相手の監督は“神様仏様”の稲尾和久、投手はのちに251勝の東尾修。豪華な顔触れだった。

 リリーフ登板が多かった八木沢は試合前まで6勝1敗。勝率1位のタイトルの可能性があった。条件は規定投球回数。それをクリアするのに先発したのだが、実は第2試合の先発予定だった。第1試合先発の村田兆治が「寝違え首痛」で回避したため、繰り上げ登板となった。7勝の勝率1位は最少勝利。しかもプロ入り7年目で初の完封勝利が完全試合。「歯痛」と「寝違え」が超と珍の字をつけた“超珍奇跡”の出来事を生んだのだ。

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