第2次世界大戦を3等身アニメで再検証する戦争映画「ペリリュー 楽園のゲルニカ」

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 アニメーションの戦争映画といえば、日本では「火垂るの墓」(1988年)や「この世界の片隅に」(2016)「窓際のトットちゃん」(2023年)など、戦時における本土での日本人の生活を描くことで、戦争の愚かさ、恐ろしさを表現するものが多い。零戦の開発に携わった主人公を描く、宮崎駿監督の「風立ちぬ」(2013年)にしても、機体の無残な残骸は出てくるが、戦地での戦闘シーンは登場しない。戦場そのものを描いた作品は思いのほか少なくて、それはやはり人間の死を直接描くことの難しさがあるからだろう。今回の作品はそこに踏み込んでいる。アニメーションは絵の動きによってキャラクターに命が吹き込まれるわけだが、逆にいえば銃撃を受けてキャラクターが死を迎えたとき、実写映画で俳優が演じる以上に、亡くなった者が命のない物体になってしまった感覚が強烈に伝わってくる。ある意味、戦場を映した実写映画よりも戦争の怖さがダイレクトにイメージされるのだ。

 中身はハードだが、可愛いキャラクターの見た目が厳しい戦場の現実を和らげ、さらに田丸役の板垣李光人、吉敷役の中村倫也が声の出演者として、ある種の軽やかさを作品にもたらしている。映画の後半では、ペリリュー島での戦いを生き抜いた田丸たちが、その後も終戦を知らず、史実通りに戦闘終結から2年半後に武装解除するまでが描かれるのだが、島にいた日本兵士1万人のうち、生き残ったのはわずか34人。その無益な戦いに身を投じた兵士たちの心情を、板垣と中村は感情に走らず的確に表現している。

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