「大井の帝王」と呼ばれた的場文男さんは騎手引退から10カ月…朝5時までゆっくり眠れる毎日を送る

公開日: 更新日:

お孫さんは男の子1人。「馬は好きじゃない」そうだ

「“自由”を実感しています。50年以上、夜8時に寝て、朝3時30分に起きて調教、月曜から金曜まで調整ルームで寝泊まり、という生活をしていましたから。飲みに行くのは、金曜の夜に、後輩を誘って銀座に来るくらい。振り返れば、そういう生活は刺激的で面白かったかもしれないけど(笑)。今は後輩を誘って飲みに行くこともないですから」

 夜8時に寝る習慣は変わらないが、今は朝は5時ごろまでゆっくり寝ているそうだ。

「起きたら、散歩して食事して。飲み食いする量は変わらないけど、体重は3キロ増。ちょっとお腹が出たかな(笑)」

 42歳の長男・勝之さんは騎手を経て、厩務員に。40歳の長女・早希さんは的場さんのマネジャーをしている。

「息子は独身。娘は大手企業に勤務する男性と結婚し、的場姓を継いでくれました。孫は1人。6歳の男の子です。すぐ近くに住んでいるので、娘家族とはよく一緒に夕食をとっています。孫を将来は騎手に、とは思いませんね。メリーゴーラウンドにも嫌がって乗らないぐらいで、『馬は好きじゃない』って言ってるから無理でしょう」

 さて、戦中、騎兵隊だった父の7人きょうだいの末っ子に生まれた的場さんは幼い頃から馬に親しんで育ち、1歳上の兄も騎手に。的場さんは中3のとき福岡から上京。大井競馬場の名門・小暮厩舎の見習に入り、73年10月デビュー。翌月には初勝利を挙げ、命の危険もあった大ケガを乗り越え、2025年3月に引退するまで、67歳4カ月15日で7424勝を挙げるなど、数々の記録を打ち立ててきた。

「中央に移籍しようとチラッと考えたこともありました。でも、僕は大井に育ててもらったから、大井に恩返しがしたくて、中央へは行きませんでした。移籍していたら7424勝の記録はなかったと思うので、移籍しなくて良かった。現役唯一の心残りは、東京ダービーで勝てなかったこと。39戦で2着が10回。なんで勝てないのか、“大井の七不思議”といわれましたが、自分にとっても七不思議です」

 生涯獲得賞金は地方194億144万円、中央は1億2514万円。しっかり稼いだ。

ゴルフや食事などに使いました」

 東京都内で、同い年の夫人と2人暮らしだ。 (取材・文=中野裕子)

▽的場文男(まとば・ふみお) 1956年9月7日福岡生まれ。73年デビュー。2025年3月に引退。68歳まで現役を続け、4万3497戦で7424勝をあげた。大井競馬リーディング獲得回数21回、地方競馬全国リーディング獲得回数2回、地方競馬最年長勝利記録など数々の偉業を成し遂げた。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  2. 2

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  5. 5

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  1. 6

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  2. 7

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方

  3. 8

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  4. 9

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  5. 10

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした