町野修斗「入る余地がない」とボヤいたカタールW杯…盛り上げ役に徹して固めた北中米大会への決意

公開日: 更新日:

FW町野修斗(ドイツ1部 ボルシアMG/27歳)

 4年前のW杯カタール大会には追加招集で参加したが、出番なしに終わった。誰よりも「次は必ず桧舞台でプレーしてやる」という思いは強いはずだ。教え子の成長過程をつぶさに見てきた高校時代の恩師が語る──。

  ◇  ◇  ◇

 ──三重・伊賀市から履正社高に来た経緯は?

「履正社の1期生が、町野が中学時代にプレーしていたFCアヴェニーダソルでコーチをやっているので、その縁で練習に来てもらった。中学時代はボランチだったが(点取り屋としての)センスを感じたので『彼はセンターFWだよ』とコーチらに伝え、最前線で育てようと決めました」

 ──1年から試合に使ったのですか?

「2つ上に林大地(G大阪FW)と田中駿汰(C大阪MF)がおり、高いレベルを経験させようと思ってメンバーに入れました。忘れられないエピソードがあります。2015年の高円宮杯プレミアリーグ・ウエストの最終節・大分U-18戦でのレッドカードですね」

 ──しでかしましたか。

「その年は京都橘高の降格が決まり、ウチも下位でしたが、得失点差で大丈夫と思って最終節を迎えました。が、残留を争っていた名古屋U-18が京都橘に前半6-0でリードの情報が入り、勝ちにいく必要性が出てきた。そこで一発に期待して後半途中から町野を送り出したのですが、スローインをゆっくりやろうとした相手選手のところに歩み寄り、コツンと足を出して一発退場です。目が点になりました。本当に町野は<宇宙人>なんです(苦笑)。試合は0-0に終わってプリンスリーグへの降格が決まった。帰りのフェリーはお通夜状態でしたね」

 ──その年は全国高校サッカー選手権の出場も逃してしまった。

「町野は、先輩たちに対して申し訳ないという気持ちでいっぱいだったと思います。高2の時にFCアヴェニーダソルの関本監督が急逝した。彼は(私の)四中工の後輩なんですが、葬儀会場で町野に『関本は必ずおまえを見ている』と声をかけました。町野は『プロになって恩返しする』と強い決意を抱いたはずです」

 ──高校卒業後は横浜マリノス入りしました。

「町野はもともとプロ志向が強かった。でも試合にはまったく絡めなかった。練習に遅刻して大先輩の中沢佑二さん(解説者)に怒鳴られ、自ら坊主にしていったことがあったようです。お調子者で羽目を外す一面がありました(苦笑)」

 ──-19年以降はJ3、J2、そしてJ1湘南で結果を残した。

「22年に日本代表入りしましたが、町野は『代表はチームが出来上がっているから自分の入る余地がない』とぼやいていました。僕は<できない理由を探す>のは好きじゃない。『自分のキャラクターを出して立ち位置を作っていけばいい』と伝えました。幸いにカタールW杯では長友(佑都=FC東京)選手を見習って盛り上げる役割に徹していたと聞いています。町野は『26年は自分が引っ張っていくんだ』と決意を固めたはずです」

 ──履正社にとっては最初のW杯選手。

「前回W杯に行ったことで後輩たちに夢を与えてくれましたが、次はピッチに立ってゴールという結果を残すしかない。3月のイングランド戦で聖地ウェンブリーのピッチに立ったことにも感動しましたが、W杯はまた別物。町野には、その大舞台を実際に経験してほしいと願っています」

(聞き手=元川悦子/サッカージャーナリスト 絹見誠司/日刊ゲンダイ)

※ロングインタビュー版は日刊ゲンダイDIGITALで公開中。関連記事から要チェックだ。

▽町野修斗(まちの・しゅうと) 1999年9月30日生まれ、26歳。三重・伊賀市出身。地元FCアヴェニーダソルから大阪・履正社高。J1横浜MからJ3北九州。ここでクラブ初のJ2昇格に貢献。2021年にJ1湘南に移籍して22年にJ1得点ランク2位。23年にドイツ2部キールに移籍。同クラブの1部初昇格の原動力となって25年、1部の古豪ボルシアMGに引き抜かれた。22年7月に日本代表初招集。同年東アジアE-1選手権で代表デビュー。22年W杯カタール大会に追加招集(出場機会なし)。身長185センチ・体重77キロ。

▽平野直樹(ひらの・なおき) 1965年11月2日生まれ、60歳。三重県出身。四日市中央工高3年次に高校総体優勝。冬の全国サッカー選手権ベスト4。元日本ユース代表。順天堂大卒業後にJSL松下電器(現ガンバ大阪)入り。プロ化によってガンバ大阪に移行した92年限りで引退。G大阪、仙台でユース監督など歴任後、2003年に履正社高サッカー部創設と同時に監督に就任。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • サッカーのアクセスランキング

  1. 1

    森保J次戦のスウェーデンを徹底予想! 相手FW陣迎える3バックは誰が? なでしこ初代監督が挙げるキーマン

  2. 2

    日本代表のW杯快進撃のウラにFW堂安律の大変身!「オレがオレが」を変えた森保監督の一喝

  3. 3

    本田圭佑の“手術痕”は…気になる「バセドー病」の症状と術後

  4. 4

    親族が語る生い立ち秘話…本田圭佑の「虚像」と「実像」

  5. 5

    MF久保建英は次戦スウェーデン戦どころか決勝T2回戦まで欠場か…依然として全体練習に参加せず

  1. 6

    森保JはF組何位通過がベスト? スウェーデン戦次第で「天国」と「地獄」…3パターンを徹底検証

  2. 7

    森保ジャパンFW上田綺世「釜本2世」襲名に太鼓判…盟友・松本育夫氏がチュニジア戦2発で“前言”撤回

  3. 8

    森保J鎌田大地“イジられゴール”はもういらない 26日スウェーデン戦で日本史上初の3連発狙う

  4. 9

    【怪情報】森保Jに不気味な逆風 チュニジアは「ここから本気」か…初戦の守備崩壊は前監督への“造反”だった?

  5. 10

    堂安律〈前編〉小学生時代の第一印象は「おっさん」…ガンバ育成組織で磨かれたゴールへの貪欲さ(元ガンバ大阪ジュニアユース監督・梅津博徳)

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高市首相の沖縄「慰霊の日」追悼スピーチは99%安倍元首相のコピペ…唯一の違いは旧日本軍の神聖化

  2. 2

    福岡ローカル「西鉄」が"本業"以外で大躍進のワケ 国際物流事業は国内4位でコロナ禍の営業収益は12%増

  3. 3

    高市首相の“恥”行動が海外に飛び火! 英タイムスがG7外交をディスり、英FTは国内財界との没交渉ぶりを暴露

  4. 4

    歌手・小椋佳さん「たばこの煙が悩みを解いてくれた」…82歳の今も週1でコンサート

  5. 5

    西武が交流戦初Vも…ワガママエース今井達也の放出こそが“最大の補強”だった説

  1. 6

    AKB峯岸みなみの“丸刈り写真” 世界中で相次ぐ目撃情報の謎

  2. 7

    【高校野球怪情報】沖縄尚学・末吉良丞“プロ回避”に現実味…左肘不安で浮上する「東都の名門」の影

  3. 8

    『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』オールキャリアを代表する傑作のトリセツに注意セヨ

  4. 9

    『グッド・デイ・サンシャイン』一筋縄ではいかないヘンテコこそが中期のすべて

  5. 10

    東京ビートルズの番組が、ビートルズ来日から60年後となる日に放送決定