滝藤賢一「逃げたいという心理は誰しもある」50歳目前でより貪欲になった“生涯修業”という姿勢
「虚構の世界で“真実”を少しでも増やしたい」
物語の鍵となるのが、与志雄が家族の前から姿を消した理由だ。未来を知る博史は、失踪前の父と向き合う。
──家族を残して姿を消す与志雄のように、「逃げる」気持ちは理解できますか。
「わかりますよ。居ても立ってもいられなくて、この場から今すぐ逃げたいという心理は人間誰しもあると思うし、間違いなく僕の中にもあります。ただ、家族に言わないというのはわからないし、与志雄のあれが『逃げた』ということなのかも難しい」
──まもなく50歳。ファッションや多肉植物など、仕事以外の趣味も充実されていますね。
「人間としての成長や心の豊かさにつながるし、趣味や人生を楽しむために働いている面もあります。仕事以外のことって絶対に大事。芝居のうまい下手はよくわかりませんけど、役者に大切なのは人間力じゃないかなと思っています」
──年齢とキャリアを重ね、芝居への向き合い方は変わりましたか。
「より貪欲になりました。虚構の世界で“真実”を少しでも増やしていきたいんです。今回でいえば、滝藤賢一が演じる与志雄ではなく、『遥かな町へ』の世界の与志雄にしか見えない姿を映し出していきたい。そのためにはどうしたらいいのか、人間の面白さを探り続けていきたいですね。生涯修業ですから」
(聞き手=望月ふみ)
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