「人にはどれほどの本がいるか」鈴木結生著│書物まみれの死に装束を選んだ男の晩年の物語
「人にはどれほどの本がいるか」 鈴木結生著
唐蔵餅之絵は、肩書上は小倉の高級旅館「如雨露館」の経営者でありつつも、実は在野の文化理論家であり素人作家。4万冊を超える蔵書に囲まれた生活を送っていた彼は、亡くなった際に遺言により切り刻んだ書物を身にまとって焼かれた。彼の孫である「私」は、そんな死に装束を選んだ餅之絵の書庫兼書斎で、蔵書の全目録が入ったUSBメモリーを見つける。80歳に差し掛かる老人が作ったとは思えない緻密な作りに驚愕しつつも、彼が最期のときまで書き込みを続けていた本の献辞にあった「アシヤグビ」という謎の人名に興味を持ち、晩年の祖父の人生の物語を妄想し始める……。(「人にはどれほどの本がいるか」)
本書は、2025年に「ゲーテはすべてを言った」で第172回芥川賞を受賞した著者による本をテーマにした小説を集めた最新小説集。24年に第10回林芙美子文学賞佳作受賞作を改稿した表題作に加えて、「完壁な辞書」「猫にバイブル」を収録しており、蔵書、辞書、聖書などの知を求めずにはいられない人たちの行く末を描いた物語となっている。 (朝日新聞出版 1980円)



















