(10)「夢」を壊す生活習慣…脳の夜の仕事はどう変わるのか
「夢」は睡眠中に生じる脳の活動のひとつで、記憶の整理や感情の処理との関係が研究されている。では、夜更かしや深夜の飲食、スマートフォンの使用は、「夢を見る脳の働き」にどう影響するのか。
最も影響を受けやすいのが「レム睡眠」である。レム睡眠では、記憶に関わる海馬や感情を処理する扁桃体が活発に働き、物語性のある鮮明な夢が現れやすい。一方で、論理的判断を担う前頭前野の活動は低下するため、現実ではあり得ない展開も夢の中では自然に受け入れてしまう。
ところが、夜更かしで睡眠時間が短くなると、睡眠後半に増えるレム睡眠が削られやすい。睡眠不足が続けば、夢を見る時間が減るだけでなく、記憶整理や感情調整という脳の作業にも影響する可能性がある。
実験的にレム睡眠を減らすと、恐怖や不安など感情的な刺激への反応が強くなることが報告されている。これは、睡眠中に行われる感情の「処理作業」が十分に進まなくなるためと考えられている。
さらに、現代人の睡眠を乱す大きな要因に「夜の光」がある。人間の体内時計は、朝の光を浴びることでリセットされ、夜になると睡眠ホルモンであるメラトニンが分泌される。しかし、夜遅くまでスマートフォンやタブレットの画面を見続けると、網膜にある光センサーが反応し、脳は「まだ昼間だ」と錯覚する。特に短波長の青色光は、体内時計を調整する視細胞(ipRGC)を刺激し、メラトニン分泌を抑えることが知られている。ハーバード大学医学部&ソルボンヌ大学医学部客員教授の根来秀行医師が言う。


















