伊東四朗「日本一の脇役になりたかった」90歳で引退へ…主役を望まなかった喜劇人が貫いた63年の美学
加えて、映画がサイレントからトーキーへ移る時代に活躍した俳優・高勢実乗(たかせみのる)さんが、バカ殿様のモデルではないかという話も出た。まるで喜劇史の教科書をめくっているようだった。
■芸能人生で一番うれしかったのは「妻子が食えるようになったこと」
肩肘を張らず、興味のあることには前のめりで臨む。2007年の舞台「社長放浪記」(作・三谷幸喜さん、演出・三宅裕司さん)では、楽屋に入るなり「あそこなんだけどさ」と毎回違う芝居のアイデアを提案し、三宅さんから「伊東さん、朝来て『おはようございます』って言ったことない」と笑われたという。
ただ、「天下を取る」といった大それたことは考えない。芸能人生で一番うれしかったのは「妻子が食えるようになったこと」だそうだ。21歳で劇団「笑う仲間」に入り、役者デビュー。その後、三波伸介さん、戸塚睦夫さんとの「てんぷくトリオ」や、小松政夫さんとの共演でテレビの人気者になった。
1983年には、NHK連続テレビ小説「おしん」でヒロインの父親役を演じ、役者としても高い評価を得た。「伊東家の食卓」(日本テレビ系)などバラエティーでも活躍した伊東さんだからこそ、淡々と目の前の仕事に取り組む姿にグッとくる。


















