【総論 ビートルズとはいったい何だったのか】②コード進行 非常識を常識に…「あそこ」や「あそこ」の転調こそ革命の本質
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本連載でも何度となくコードについて言及してきた。音楽性における「ビートルズ革命」の本質だと考えるからだ。
コード、すなわち和音。ビートルズの曲には、というか、ポップ音楽には基本ずーっと和音が流れていて、そこには一定の法則性があるものなのだ。「C─Amとくれば次はFだな」的な。
そんなコード進行の常識的な法則性をぶち壊した、というか、「C↓AmとくればFだけど、ここはE♭に行ったろか」的に非常識な進行を、常識にしてしまった。
そしてビートルズはポップ音楽のコードの可能性を一気に広げたのである。
もっとも分かりやすい例は「転調」だろう。曲の途中でキー(調)を変えるという技法。ビートルズ以前のポップ音楽では、転調なんて、それこそ「非常識」な手法だった。
↓………ここから続き………
でもビートルズは、メンバー同士が競うように(本当に競っていたと思う)、転調するわするわ。また、プロデューサーのジョージ・マーティンも「転調しろしろ」「E♭もええけどA♭に行くのもええで」などと、けしかけたに違いない。
以下、聴きながら転調する箇所を探してほしい。
●『ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア』(66年)の目が覚めるような感覚になるあそこ(G→B♭)
●『サムシング』(69年)の太陽がすーっと差してくるようなあそこ(C→A)。
●『フール・オン・ザ・ヒル』(67年)で物悲しさが一瞬立ち込めるあそこ(D→Dm)
●『ジュリア』(68年)で森の中に迷い込んだ感じになるあそこ(D→F#m)
……と「あそこ」「あそこ」と聞きようによってははしたないが、とにかく、聴き心地に複雑な陰影を与える転調をカジュアルに使いまくることによって(複雑な歌詞とも相まって)ポップ音楽を新しい地平へと向かわせたのだ。
では、私の考える「ベスト・オブ・ビートルズ転調」はどの曲か。ここではあえて『恋のアドバイス』(65年)を挙げてみたい。
キーはEだが、試聴リンク再生時間「0:55」で一瞬Gに行く。
私が好きなのは「1:06」でのGからEへの戻し方だ。まだまだこなれていない、「ビートルズ、転調やってみた」という感じが何とも初々しくてよいではないか。
と、今回は話が専門的になってしまったが、まずは先に挙げた「あそこ」や「あそこ」に目を、いや耳を澄ませてほしい。 (この項つづく)
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