浅草高の元国語教師が食べ歩き 「観音裏」名物女将のお店
氏子衆が神輿を担ぎ、荒々しく振り回す魂振りで、豊作を願い、病気や邪気を払う――。
2週間後に行われる三社祭で、東京・浅草は一足早い夏を迎える。都立浅草高校の元国語教師、神林桂一さん(63)は、3月に退任するまで41年間、浅草を中心に都内各地を飲み食べ歩いてきた。中でも愛する浅草については、2004年から独自の視点でミニコミ誌を発行。ランキングにしている。名物女将がいる店ベスト10を聞いた。
「5時に店でお会いしましょう」
そう約束して記者が向かったのは、レトロな店構えが印象的な「正直ビアホール」。10分前に店に着くと、全8席のカウンターの右端に、先生はすでに座っていた。
「女将ランキングでは、この店を外せませんよ。吉原遊郭にあった『正直楼』がルーツで、1950年に開店し、2年前までは吉原に本店があったんです。だからここは分店。開店当時をしのばせる氷冷式のビールサーバーがいいでしょう。都内最古で今なお現役。うすはりグラスについでもらうビールが抜群にウマい。料理がないので、ママとの会話が最高の酒の肴なんです」