実父のセクハラに「騒ぐほどでもないでしょ」と他人事。37歳男性が“静観”を続ける家族の深い理由

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コクハク

37歳、そんなに騒ぐこと?

 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人差があります。ひとつの出来事への解釈や目的が、男性と女性では異なる場合もしばしば。男性と女性では、夫婦のあり方への認識が大きく異なる場合も少なくありません。

 魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様分析を得意とする並木まきが、そんな男女の“冷酷” と“激情”のあいだを垣間見るエピソードをお届けします。

【冷酷と激情のあいだ~男性編~】

「どうもこうも、別にそこまでの話じゃないかなって。オヤジはもともと陽気な性格で、お酒が入るとそれがさらに強調されるんですよ。

 俺と飲みに出かけたときも、お酒が回ってくると、見知らぬ女性に話しかけてお酒を奢っちゃうような人なんです」

 妻が「セクハラだ」と訴える父親の行為は、ヨウスケさんから見ると「馴れ馴れしいが、騒ぐほどでもない」とのこと。

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義母には申し訳ないけれど

 しかし義母が、自分の父親の行為に困惑している認識はあると話します。

「義母には悪いなあ…とは思いますよ。でも、『義母にセクハラするのやめろよ』とは言いにくいんですよ。本人には、セクハラの自覚がないですからね。

 変に騒ぎを大きくしちゃうと、たぶん両家の関係もおかしくなりそうだし。

 だから俺は、あえて静観しています。本当はオヤジが空気を読んでくれるのが一番なんですが…」

 ヨウスケさんは「された側が不快だと感じたら、意図的でなくてもハラスメントに該当する」という定義も理解していますが、父親に強く言えない理由が、もうひとつあると打ち明けます。

キレ出すと手がつけられない

「オヤジは、カッとなると行動が過激になる人なんですよね…。セクハラを指摘したら、かなりキレるでしょうし、多分義母にも直接文句を言い出しそうで厄介なんです。

 一度キレ出すと、本当に手がつけられないんですよ…。かといって、義母や妻に、“父のセクハラを我慢してください”って頭を下げるのもおかしな話だし。

 だから本当はね…、母親が両家の交流の場に出てきてくれればいいんです。オヤジもオフクロの前で、他の女性にウザ絡みしないだろうし」

 ヨウスケさんは、この問題はかなり長引くのではないかと予想しています。

オヤジも寂しいから

「波風を立てないためには、オヤジが男として枯れるのを待つしかないのかも。いや〜、確かにね、オヤジの言動は時代的に許されないですよ。

 でもね、人といるのが大好きなオヤジが、オフクロと別居してから寂しく暮らしているのも知っているんで…。

 両家が仲良く交流している状態をキープしたいっていうのが、俺の一番の願いなんです」

  ◇  ◇  ◇

 恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。

(並木まき/ライター・エディター)

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