山下美夢有が全英Vで6人目メジャー制覇!日本女子「グランドスラム」は夢物語ではなくなった
【全英女子オープン】最終日
ウイニングパットを決めた瞬間、ポーカーフェースの瞳に涙が浮かんだ。
2位に1打差の通算9アンダーからスタートした山下美夢有(24)が、3バーディー1ボギーの70、通算11アンダーで、日本勢では6人目(7度目)となるメジャー制覇を成し遂げた。優勝賞金は日本円で約2億1500万円。
最大瞬間風速13メートル超でも、この日はティーショットが安定し、前半はフェアウエー(FW)を一度も外さず3バーディーを奪う。大きなピンチは第1打をポットバンカーに入れた13番パー5。ここは第3打もグリーン左下に落とし、アプローチも寄らなかったが、5メートルのパーパットをカップの真ん中から沈めた。
14番パー4からの難関4ホールは17番パー4の1ボギーに抑え、2位と2打差で迎えた18番パー5は第1打を左ラフに入れるもパーをセーブ。追ってくる下位選手を振り切った。2位タイには通算9アンダーの勝みなみ(27)が入った。
山下は、中継するU-NEXTのインタビューで、「すごくうれしいです。(前日24歳の誕生日)いい誕生日になってよかったです。ここまでくるには一番近くで支えてくれた家族が心強かったし、優勝を届けることができてうれしいです。(優勝カップは)意外と軽いなと思いました」と言った。
それにしても、この2年間で日本勢のメジャー優勝は4人目。この勢いなら来季以降も日本人チャンピオンの誕生を何度も目にすることができるに違いない。そうなると「偉大な記録」が気になってくる。
今年のマスターズでR・マキロイ(36)が4大メジャーを制覇し、男子では史上6人目となるグランドスラマーになったが、今回の全英女子には、チョン・インジ(30)とミンジー・リー(29)のGSが懸かっていた。女子のメジャーは、男子より1つ多い5大会(シェブロン選手権、全米女子オープン、全米女子プロ、エビアン選手権、全英女子)。このうち4大会に勝てばGSとなる。全5大会制覇は「スーパーGS」と呼ばれ、現在の達成者はカリー・ウェブ(2002年)だけだ。
元世界ランク1位の宮里藍でさえ勝てなかったメジャー大会も、すでに笹生優花(24)は全米女子OPで2勝を挙げ、古江彩佳(25=24年エビアン)と西郷真央(23=25年シェブロン)は1冠。今大会予選落ちの渋野日向子(26)も19年の全英に勝っている。そして今回の山下だ。
直近2年のメジャー10大会を見ても日本勢は4勝、2位4人。その実力はツアーメンバーの誰もが認めるところとなった。
メジャーの実績を見ると、2つ目のタイトルに最も近いのは西郷だろう。昨年は全英7位でトップ10に入り、今季はシェブロンに勝ち、全米女子OP4位、今大会11位。3年前にはエビアンで3位になっている。