著者のコラム一覧
小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

名前まで美しい新作フェラーリ アマルフィ初上陸!ヘタすると600万〜700万円お得って知ってた?

公開日: 更新日:

フェラーリ アマルフィ(車両価格:¥34,180,000/税込み~)

 真夏の7月30日に日本初公開された新作フェラーリ アマルフィ! 「世界一美しい海岸」とうたわれ、世界遺産にも登録された伊アマルフィ海岸に由来するネーミングと、耽美なFRフォルムはまさにザ・エレガントなフェラーリにふさわしい。しかし意外にも、注目は価格にもあることをご存知だろうか。

 すでに7月頭に世界発表されていたアマルフィの欧州スタート価格は24万ユーロ。長引く円安で1ユーロ=170円で単純計算するとななんと4080万円!!

 前作フェラーリ ローマの日本価格は2872万円ほどだから、もしや1000万円以上値上げ? されることになる。ところが当日発表されたアマルフィの国内スタート価格は3418万円。予想よりざっくり600万円は安い。それどころか日本仕様は大抵装備豊富だから実質的にはもっと安いかもしれない。

日本のフェラーリユーザーは世界的にも相当な割安感で買える

 実はフェラーリに限らず、ランボルギーニもアストンマーティンもメルセデスの高価格スポーツも単純為替レートで計算するとトンでもなく高くなる。先日発表された新型マツダCX-5も、欧州では3万5000ユーロスタート。ざっくり600万円近く、正直そのまま日本で売ることはアリエナイ。つまり為替差損はなんだかんだメーカーが吸収することになる。

 だからある意味、日本のフェラーリユーザーは幸運なのだ。世界的にも相当な割安感でアマルフィを買えるワケだから。

 本題の実車だが、アマルフィはエンジンをフロントミッドに搭載するエレガントなFRスポーツで、中身は現行ローマの正常進化版。全長×全幅×全高は4660×1974×全高1301mmで4mmしか長くなっておらず、2670mmのホイールベースは同一。1.4トン台の車重もほぼ変わらず。

 心臓部たる3.9ℓV8ツインターボも骨格は変わらずで、エンジン制御やヘッド周りの軽量化で最高出力が20psアップの640psに。760Nmの最大トルクは変わらずだが、時速0-100km加速は0.1秒短縮されて3.3秒となった。

 またイマドキハイテクが次々導入され、遂に高速道路で自動追従するアダプティブクルーズコントロールとレーンキープアシストシステムが導入され、ブレーキ制御にもABSエボという最新システムを配置。インテリアもフェラーリSUVのプロサングエにも似たデュアルコクピットが採用され、助手席前も含む3つのモニターを装備することになった。

白眉は、動力性能とフォルムのアップデート

 だが何より違うのは美しさの質で、全体のロングノーズ&ショートデッキのFRフォルムこそ変わらない。しかし外板はフロントとサイドウィンドウ以外はすべて新作され、抑揚は全体にローマよりも抑えられている。

 フェラーリらしいシルバーの格子型グリルもブラックストライプになり、全体にシンプルモダン化している。そう、今回の白眉は、動力性能とフォルムのアップデートなのだ。

 正直、ローマで十分という人もいるだろうが、実はスーパースポーツ界も常に進化が求められている。毎年毎年F1マシンが恐ろしく速く、複雑に変貌しているように。

 また冒頭の価格問題だが、フェラーリ本体は今、非常に稼いでいる。2024年の売り上げは過去最高の66億ユーロ(1兆円以上!)で、営業利益率はなんと28%強。あのトヨタでも10%がやっとの自動車ビジネスで、ほぼ3倍近いのだ。

 そしてスーパースポーツという夢を売るビジネスにおいては、価格を露骨に上げて客を不快にするより、抑え気味にして喜ばせた方が得策なのだろう。まさに「損して得取れ」というように。そして逆に今後の政策によっては、円高移行もあり得る。その時はまず間違いなく値下げはしないだろう。

 なんだかんだ上手いことバランスを取っているはずなのだ、このブランドビジネスの覇者は。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  3. 3

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  4. 4

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  5. 5

    坂口健太郎に永野芽郁との「過去の交際」発覚…“好感度俳優”イメージダウン避けられず

  1. 6

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  2. 7

    板野友美からますます遠ざかる“野球選手の良妻”イメージ…豪華自宅とセレブ妻ぶり猛烈アピール

  3. 8

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景