大阪万博は鉄道もバスも激混みでウンザリ…会場の夢洲から安治川口駅まで、8キロを歩いてみた
開幕から3カ月半──。大阪・関西万博の会場がある夢洲は、まさに孤島だ。道路2本と地下鉄1本しか通っておらず、主な交通手段は、バスと鉄道に限られている。いずれも激混みが常態化し、特に地下鉄夢洲駅のある東ゲート付近は、朝夕ピーク時に大勢の来場者が詰めかけ、数十分待たされることもザラだ。夏休みシーズンで8月中旬以降は「駆け込み需要」もあり、さらなる混雑が予想される。しかし嘆くなかれ。実は、徒歩と船という、究極の混雑回避術があるのだ。
◇ ◇ ◇
記者が万博の取材に訪れたのは、6月21日。カラッと晴れて湿度こそ低かったが、最高気温は31度の真夏日。ギラギラと照りつける日差しが、みるみる体力を奪っていった。午前11時から会場内を歩き回り、パビリオンにも散々並んだ。「もう混雑はごめんだ!」という一心で、無謀にも徒歩で帰ることを決心。夢洲の北側に位置する人工島・舞洲を経由して、会場の近隣駅のひとつ、JR安治川口駅まで、8キロ約2時間のルートを歩くことにした。
閉場が1時間後に迫る午後9時、大屋根リングが閉鎖され、いよいよ来場者は帰路に就く。おしくらまんじゅう状態の群衆にまぎれて東ゲートから退場し、「障がい者用駐車場」へ向かう道に進むと、会場外の歩道に出られた。
そこからしばらく進むと、夢洲と舞洲を結ぶ夢舞大橋に着いた。橋を渡る途中、ふと後ろを振り返ると、万博会場の大屋根リングがライトに照らされ、大阪湾の暗闇に浮き上がっていた。橋の上は海風が吹き、ジメッとした湿気を吹き飛ばして気持ちがいい。キラキラと光る港湾地帯の夜景も一望できる。「歩くのもオツなものだ」と思ったが、これはまだ果てしなく長い道のりの序盤戦だったと、後で知ることになる。