増える「墓じまい」には菩提寺や親戚との事前相談が必須
「もう管理できない」「墓を引き継ぐ人がいない」――。近年、都市部の人口集中や単身世帯の増加で、地方にある先祖代々の墓の管理から遠ざかっている人が増えている。こうした管理者不在の墓は「無縁墓」と呼ばれ、2013年に熊本県人吉市が市内の墓地を調査したところ、「無縁墓」の割合は実に4割に上ったという。
「無縁墓」とはいえ、管理費が必要なことや、寺から処理を請け負った業者が墓石を不法投棄するケースが社会問題化。このため、地方の墓を「墓じまい」し、住まいの近くへの改葬を検討する人も目立ってきた。
改葬手続きの一般的な流れはこうだ。まず、新たな墓地から受け入れ証明書を取得し、それまで使用していた墓地から埋蔵証明書を発行してもらう。そして改葬先の自治体に埋蔵証明書などの必要書類を提出、許可を得るのだ。その後、石材店に依頼し、古い墓を更地にし、遺骨を取り出すのだが、留意すべきは費用だ。日本エンディングサポート協会の佐々木悦子理事長がこう言う。
「遺骨を取り出すまでで、費用はおおむね50万円前後でしょう。そして取り出した遺骨を納骨堂に入れるのか、海洋散骨するのか、樹木葬にするのかなどによっても費用は大きく変わるため、あらかじめ予算を決めておいた方がいいでしょう」