著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

トイレでのスマホ習慣は「痔」のリスクを高める?

公開日: 更新日:

 現代において、スマートフォンは通信機器という本来の機能のみならず、情報の収集、エンターテインメント、仕事の管理など、多岐にわたる役割を担っています。スマートフォンの普及は、人の生活様式にも大きな影響を与えました。かつて、電車やバスの車内では窓の景色を眺めたり、本を読んだりしている人が多かったのに、現在では多くの乗客がスマートフォンの画面を見つめていることでしょう。中には、トイレで用を足す間にもスマートフォンを使用している方がいらっしゃるかもしれません。 

 一方で、長時間にわたってトイレに座り続けることは、痔の危険因子であることが知られています。そのような中、トイレ内におけるスマートフォンの使用と痔の関連性を検討した研究論文が、プロスワンという科学誌に2025年9月3日付で掲載されました。

 米国で行われたこの研究では、大腸の内視鏡検査を受けた125人が分析対象となりました。内視鏡検査を実施する前に、研究参加者に対してアンケートを行い、トイレ内におけるスマートフォンの使用状況が調査されました。その後に行われた内視鏡検査の結果に基づき、スマートフォンの使用状況と痔の発症リスクの関連性が解析されています。なお、研究結果に影響を与え得る年齢や性別、排便時のいきみの頻度などについて、統計的に補正して解析されました。

 その結果、トイレでスマートフォンを使用する人は、使用しない人に比べて、痔のリスクが46%、統計学的にも有意に増加することが示されました。論文著者らは「トイレでスマートフォンを使用することは、トイレの滞在時間の延長をもたらし、痔の発症リスクの増加につながる」と考察しています。

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