著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

副作用の重症度を判定する「CTCAE」…異変を感じたらすぐに相談

公開日: 更新日:

 高齢者かどうかにかかわらず、クスリによる副作用はできるだけ避けたいものです。でも、クスリがわれわれの体にとって異物である以上、基本的にすべてのクスリに副作用のリスクがあります。そして、副作用にはとてもたくさんの種類があり、それぞれに重症度もあります。

 われわれ医療従事者が副作用の重症度の判定によく用いるものに、「CTCAE」(Common Terminology Criteria for Adverse Events)があります。これはクスリに限らず、すべての医療行為によって起こりうる有害事象の重症度をグレード分類したものです。一言で有害事象といっても膨大な種類がありますが、それらが個々でグレード分類されています。グレードは1から5まであり、数字が大きくなるほど重症になります。ちなみに、グレード5は基本的に「死亡」なのですが、死に至らないような有害事象の場合はグレード5というのは存在しません。

 一部の鎮痛薬で起こりうる副作用である胃潰瘍を例に挙げると、グレード1では「症状がない」状態、グレード2では「症状があり内科的治療を要し、身の回り以外の日常生活動作の制限がある」状態、グレード3では「消化管機能の高度の変化があり、待機的侵襲的治療を要し、身の回りの日常生活動作の制限がある」状態、グレード4では「生命を脅かし、緊急の外科的処置(手術など)を要する」状態、そしてグレード5では「死亡」となります。そのため、医療従事者としては、万が一そういった有害事象が起こってしまった場合は、できるだけグレードが低い状態で気づくこと、つまり早期発見がとても重要となります。

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