【寄稿 荻原博子氏】コロナでお金と暮らしは大きく変わる

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 私たちの暮らしに未曽有の衝撃を与えたコロナ禍。ワクチンもなく緊急事態宣言によって数カ月の自粛生活を強いられたものの、いまだに終息していない。この間に世界の人々はさまざまなことに気づき、ニューノーマルの時代に入ったといわれている。これから経済や社会、暮らしはどうなるのか。そしてどう生き延びたらいいのか。

■本格的不況はこれから

 これから日本経済は大変なことになります。まだコロナ直後なので、それほど失業は出ていません。失業が少ないのは政府がお金を出して下支えをしているからだと言ってますが、違います。本格的になるにはタイムラグがあるんです。裁判所が閉まっていたから各種の手続きができなかっただけです。倒産すらできなかった会社がこれから手続きに入ります。

 コロナが経済に与えた一番大きなインパクトは収入減で、自営業者にもろに来ています。いまは家賃支援給付金や緊急小口資金とで持ちこたえていますが、尽きれば持ちこたえられなくなります。

 内部留保がある大企業は大丈夫です。金融機関もお金を貸しやすい。しかし日本の企業の7割が中小零細企業。大企業の影響を受けます。1部上場企業のレナウンが倒産し、観光業もダメージを受ける。そういう企業から始まっていきます。HISは夏のボーナスを出せませんが、ボーナスを当て込んで住宅ローンを組んでいるような人は大変です。

 以前からトヨタ自動車などの大企業は将来への危機感を持っていましたが、そんな企業でさえ、人を雇ったり、給料を上げたりはしなくなるでしょう。当然、日本経済のV字回復などありえません。

■地方に流出する若者

 時代はこれから大きく変わっていきます。モノを買わなくなりました。デパートなどは大変です。ネットで価格を比較されて安いネットショップで買われてしまう。生鮮食品を扱う小売業もネットスーパーと競争しなければならなくなります。

 今までの経済は東京一極集中で成り立っていました。東京に通える郊外に家を買ってベッドタウンができた。しかし、人口減少で空き家は10軒に1軒。住宅が不良債権になりつつあります。そこにコロナで、満員電車に乗って会社に通わなくてもいい、リモートでいい、外部発注でいい、都心にオフィスを借りなくてもいいと気づき始めた。東京に住む必要はますますなくなっていきます。

 先日、徳島県名西郡神山町に行ったんです。この過疎の町には東京のITベンチャーのサテライトオフィスがいくつも集まってきています。神山町は徳島県が主導して山の中や河原でも自由にWi―Fi(無線LAN)を使える環境をつくりました。古民家の家賃は3万円。職住接近なので9時5時で仕事が終われば趣味もできて、子育てもしやすい。海外の芸術家を招待したり、とても豊かな生活をしていました。若い人たちがどんどんこういう町に集まってきています。インフラさえ整える町おこしをやれば十分なんです。彼ら、彼女らは高い住宅ローンを組んで借金を抱え、満員電車で通勤する生活には戻りません。

 今まで働くということは、会社員になって会社に通って、会議に参加してお金をもらうということでした。しかし、いま世界で一番大きな会社はネットの中にあるんです。クラウドソーシングです。400万社が登録して1200万人が働いている。これまではコストのかかる雇用の仕方をしていましたが、優秀な人材は会社の外にたくさんいて、会社が今のような形でなくてもよくなっています。私もリモートで仕事をしていて、3年間連載しているコラムの担当編集者にいまだに会ったことがないんです。でも今はそういう仕事のやり方が失礼ではない時代です。そういう人たちが10年後、20年後に社会の中枢になります。

■40代、50代は借金を減らして

 年金だけを頼りに生きている今の高齢者は生涯大丈夫でしょう。年金制度は破綻しませんから。もし破綻させてしまったら訴訟が起きて、国は負けます。だから国は年金を破綻させないように基礎年金の国庫負担(税金)の割合を3分の1から2分の1に引き上げました。ただ、もらえる額はじわじわと下がっていきます。一方、20代、30代はもはや年金を信じていません。

 問題ははざまにいる40代、50代です。

 この世代で一番大切なことは借金を抱えないことです。バブル崩壊後、日本の企業は不良債権を減らして現金を増やしてきましたよね。借金を減らして現金を増やすことがセオリーだからです。これまで日本は国策で住宅を国民に買わせることによって景気を浮揚しようとしてきました。住宅をたくさん建てられるよう建築基準法を緩め、住宅を疑いもなく買う前提を国民も持っていた。80年代末にバブル経済がはじけたあとも土地神話はなかなか消えませんでした。それが40代、50代が持っている負の遺産、住宅ローンになっています。

 なるべく固定費を減らし、住宅ローンは抱えないようにしましょう。この世代は共働きをしてでも定年退職までになんとか処理しましょう。

■子どもの教育にお金をかけすぎない

 今の40代は子どもにお金をかけすぎている人が多い。この世代は受験戦争を生き抜いているから、高いお金をかけて子どもを塾に通わせます。しかしこれからの時代、高学歴だから幸せになるわけではありません。子どもにはなるべくやりたいことをやらせましょう。それが幸せにつながる時代です。今から10年前にeスポーツ(ネットゲーム)が大金を稼ぐって考えられましたか? どの能力が有望なのかなんてわからないんです。これまで政府にとって都合のいい子どもを育ててきて、その結果、国力を落としました。会社がなくなると生きていけない人ばかりを育て、今や10人に1人がニート。

 10年、20年で社会が激変する時代では、親がなんでもやってあげる子どもはダメです。北欧が世界の最先端を走っているのは、自分の頭で考える教育を小さいころからしているから。本当に幸せに暮らすのならば、自分の力で生きられるタフな子どもに育てる教育が必要です。親も子離れをしましょう。厳しいでしょうが、世の中は甘くなくなりました。子どもが独り立ちしなければ親の老後も危うくなりますよ。

 ただ、落ちこぼれが出たら、それは国がすくいあげる。そのために国はあるからです。コロナ後は新しい時代になる自覚を強く持ちましょう。

▽おぎわら・ひろこ 経済ジャーナリスト。1954年、長野県生まれ。著書に「隠れ貧困」(朝日新書)、「最強の相続」(文春新書)など。最新著は「『郵便局』が破綻する」(朝日新書)。

■給付金10万円の使い道「温泉」

 温泉に行きたいです。自粛をして東京にずっといたのでフラストレーションがたまっています。



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