残留農薬が少ない野菜はアスパラ、サツマイモ、タマネギ
急性中毒を除けば、食べ物は長い時間をかけて病気をつくり出す。病気の原因は栄養の過不足などさまざまだが、現代社会で影響が大きいのは合成化学物質である。近代化学工業が誕生して、人類がつくった化学物質は約1億4000万種類といわれ、生活の中で使われているのが約10万種類。その中で、健康にもっとも影響があるのは農薬だろう。
農薬を避けたければ、農薬を使わずに育てた有機農作物を食べるしかないが、日本ではなかなか手に入らないことや、値段も高いとなると躊躇する人もいるはずだ。そこで「残留農薬の少ない食品」を紹介したい。
残留農薬が少ない野菜は、ハウス栽培ではなく、露地栽培のように、季節に逆らわずに育てられた作物に多い。いわゆる旬の野菜である。それに加え、なんといっても旬の野菜は栄養価も高い。
アメリカの消費者団体がFDA(食品医薬品局)のデータを基に、残留農薬の量が少ない作物を紹介しているが、そこから日本人にもなじみのある野菜をリストアップすると次のようになる。
タマネギ、アスパラガス、豆、ナス、キャベツ、サツマイモ、マッシュルーム
日本の自治体でも検査しているが、検体の種類が少ないので一概にいえないことを承知で述べると、例えば東京都の調査では、
アスパラガス、ブロッコリー、ニンジン、レンコン、キャベツ、サツマイモ、タマネギ
などが検出されなかった。
土の中で育つ野菜は、比較的残留する農薬も少ないようだ。
慣行栽培という農薬を使う栽培では、農薬の使用回数が自治体ごとに決められているが、トマトやキュウリのように農薬使用回数が年間に50回を超える野菜がある中で、根菜類はほとんどひと桁だ。農薬の使用回数が少なければ、当然残留する農薬も少なくなるだろう。
■ダイコンやカブは、葉があぶない
また農薬の残留基準値が高ければ、農家も安心して農薬をまくから残留しやすい。しかし逆に、低ければ残留値も低くなる。実際、ネオニコの残留基準値を見てみると、
ダイコン、カブ(根)、ニンジン、アスパラガス、ブロッコリー
これらが低い。それは自治体の調査にもあらわれている。もっとも、最近はダイコンやカブの葉をおひたしにして食べる人が多いが、残留値は根の部分に少なくても、実は葉の部分は高いのである。例えばクロチアニジンというネオニコは、カブの根が0・5ppmなのに、葉はなんと40ppmと80倍も高いのだ。あぶない、あぶない。=つづく