「絶対に許さない!」妻がナイフを突きつけて…夫が“家庭を守るため”に叫んだ一言

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コクハク

【不倫ドキュメント・ファイル~なぜ禁断の恋をするのか?】

 世の中、不倫の話題で持ちきりだ。2024年に実施された調査によると、既婚男性の約2人に1人、既婚女性の約3人に1人が婚外恋愛経験者だという。SNSやマッチングアプリが普及し、不倫のハードルは下がる一方。しかし、その裏にある人間の欲望と自己演出には注意が必要だ。

 ワイドショーの定番、それは芸能人の不倫騒動。謝罪会見に活動休止──愛に溺れた代償はあまりにも重い。

 世間が「不倫=絶対悪」と決めつけるなかで、それでも、人はなぜその扉を開けてしまうのか。禁じられた恋に身を投じる不倫の背景をCA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持ち、数々の人間模様を見てきた筆者が読み解いていきたい。

【読まれています】「世界が輝いて見えたんです」15歳年下男子に“ガチ恋”する46歳女性が、夢から覚めた残酷な瞬間

45歳バーテンダーが直面した絶体絶命

 ドラマ映画では、色恋沙汰の末に「ナイフ」が登場する場面をよく見かける。しかし、それが現実に目の前で起きたら――しかも、自分の妻の手に握られていたら?

 今回、取材に応じてくれたのは、拓海さん(45歳・バーテンダー/妻子あり)。小さなバーをひとりで切り盛りする、無骨でガタイのいい男性だ。

「僕は学生時代、相撲をやっていたので体格だけはいいんです。でも、口下手でイケメンでもない。けれど、不思議と僕目当てに来てくれる女性客もいるんです」

常連客とワンナイト

 客との恋愛は御法度。だが、当時、妻との関係が冷えていた拓海さんは、ある常連女性からの「一度だけでいいから」という言葉に流されてしまった。

「一夜限りと思ったんです。でも彼女はその後も頻繁に来店するようになって…カウンター三席、ボックス五名席の小さな店です。常連の中には二人の空気を察して、『奥さんにバレたらヤバいよ』って忠告してくれた友人もいました」

 以降、二人きりになるのは避け、「体調を崩して通院中」などと伝えて距離を置いたそうだ。これ以上深みにはまれば、ストーカー化しかねない。妻と冷え切っているとはいえ、拓海さんには守るべき家庭があった。

 だが、噂は静かに、確実に広がっていた。

妻がナイフを持って…

「妻は元々、店の常連で、共通の友人も多いんです。きっと誰かが告げ口したんでしょう。ある日、開店前にひとりでグラスを磨いていたら、突然、妻が現れたんです。

 ――あなた、私に隠し事しているでしょ?

 ――えっ、急にどうしたんだよ?

 問い詰められて、僕は心当たりを探りました。そして、こう言われたんです。

 ――不倫したんでしょ。知ってるわよ!」

 次の瞬間、妻の手に握られていたのは、鋭く光るナイフだった。

「ナイフの先端が、照明を反射してキラッと光ったんです。鬼のような形相で『絶対に許さない!』と叫びながら、妻がナイフを突きつけて突進してきて……」

刃が上なら「殺人未遂」、刃が下なら「傷害罪」

 そのとき、拓海さんの口から出たのは、思いもよらぬ一言だった。

 ――刃を下に向けろ!

 突然の怒声に、妻はハッと動きを止めた。そして、拓海さんは続けた。

 ――俺は刺されてもいい。でも、子どもたちの母親を「殺人犯」にしたくない。

 冷静にそう告げたという。

「ご存じですか? ナイフで刺すとき、刃を上に向ければ『殺人未遂』ですが、刃を下に向ければ『傷害罪』で済むんです。ふたりの息子たちに母親が犯罪者になる姿は見せたくなかった…」

 我に返った妻は、その場に崩れ落ち、手にしていたナイフを落とした。

 その一瞬の隙をついて、拓海さんはナイフを素早く蹴り飛ばした。

妻を犯罪者にせずに済んだ

「なぜあの言葉がとっさに出たのか、自分でもわかりません。でも、結果的に、妻を犯罪者にせずに済んだ。それだけは不幸中の幸いでした」

 拓海さんはそう苦笑する。

 だが、刃物を握り、怒りに任せて突進してきた妻の姿は、今でも鮮明に脳裏に焼きついている。

 その光景はときおり夢にも現れ、背筋が凍るような恐怖を呼び起こすという。

 ナイフの向きひとつで、罪の重さは変わる。

 崩壊は、いつも「想定外」の顔をしてやってくる。

 これは、嫉妬の炎がどれほど危険かを教えてくれる、静かで恐ろしい事実だ。

 ほんの出来心が、人生を破滅へと導くこともある。それが「嫉妬」という感情の正体――そして、誰もがその引き金を握る可能性があるのだ。 

(蒼井凜花/作家・コラムニスト)

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