五輪選手も悲鳴を上げる日本の猛暑 熱中症を防ぐ「4つの対策」とは

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 台風一過の日本列島は普段通りの厳しい暑さが戻ってきた。連日の猛暑は五輪の選手にとってもうひとつの戦い。ROC(ロシアオリンピック委員会)のアーチェリー選手が暑さで一時意識を失ったが、他の多くの選手からも「常に脱水状態」と悲鳴が上がっている。熱中症はこれからが本番だ。

 ◇  ◇  ◇

■救急搬送数は前年比1.44倍

 今年は熱中症による救急搬送数が急増している。総務省消防庁によると、6月1日から7月18日までの搬送数は1万2748人(速報値)。昨年の8831人から1.44倍の増加となった。

 秋田県でも気温30度を超える真夏日が続き、7月25日には男鹿市の80代の女性が熱中症で死亡。畑で倒れているところを近くの住人に発見されている。

「119番通報は午後2時45分。その日は35度まではありませんでしたが、とても暑い日でした。死亡した女性は畑の中で発見されています」(男鹿地区消防本部)

 こうなると、慣れているはずの農作業やガーデニング中でも危険ということになる。熱中症予防には暑い環境に体を慣れさせる「暑熱順化」が重要だが、通常は体が慣れるまでに10~14日ほど。普段は涼しい地域や梅雨明けに熱中症が多発するのは、この暑熱順化が不十分であることが考えられる。

■「暑熱順化」できない外国人は危険

 そもそも、日本スポーツ協会の「熱中症予防運動指針(2019)」は、31度以上で“特別の場合以外”を「運動は原則中止」と決めている。オリンピックはその特別の場合に該当するのかもしれないが、普段は涼しい環境で生活する欧米人や南半球から来た選手は、この暑熱順化に対応できていない。ブルームバーグによると、EUのエアコン設置率は5%未満。リスクは日本人以上に高い。さらにWHOは「35度以上の場合、扇風機では熱中症を予防できない」と警告している。

 一方、普段の生活においては、気温が上がれば上がるほど熱中症が増えるわけではない。東京消防庁の気温別のデータ(昨年6~9月)では、救急搬送された人数が最も多かったのは33度台の920人。これが34度台になるとほぼ半減の509人となり、さらに35度台で329人に減る。日数に違いはあるが、気温と湿度の関係、または暑すぎて外出を控えるなどの対策を講じた影響もありそう。さらに注目すべき点は、5~79歳の幅広い年齢層で男性の救急搬送が多く、全体では女性の1.88倍もあった。これは男性の方が暑さに弱いというばかりでなく、激しい運動や労働を行うことが多いのも原因とされる。炎天下でのジョギングは厳に慎みたいところだ。

具体的な対策あれこれ

■1日当たり1.2リットルの水分を補給

 では、熱中症を防ぐためにはどんな対策があるのか?

「日頃から『汗をかく習慣』を身に付け、屋外では『帽子や日傘』を使い、屋内では『冷房や扇風機を活用』し、のどが渇く前に『こまめに水分補給』しましょう」(東京消防庁)

 具体的な水分補給としては、1日当たり1.2リットルの水分を取りたい。どうしても運動しなくてはいけない場合は、スポーツを始める30分前に最低500ミリリットルの水分を飲み終え、運動中にも15~20分置きに200ミリリットル、そして運動後には減った体重分の水分を補給することが推奨されている。

■車は絶対に子供だけにしない

 JAFによる真夏の炎天下(気温35度=晴れ)の実験では、エンジンを停止させてわずか30分で車内温度は45度に上昇。3時間後には55度を超えてしまった。先日も千葉県八千代市で1歳の女児を車内に放置して死亡させた母親(25)が逮捕されたが、「短時間であれば安全、日陰だから安心」ということは絶対にあり得ない。

「キーとじ込み」のような不慮の事態でも、わずか15分で命の危険レベルに達する。そのためJAFは緊急性が高いと判断した場合、通常開錠ではなくドアガラスを割って救出している。一般のケースでも参考になるだろう。

 また、JAFはサンシェード(日よけ)による温度抑制効果も実験しており、残念ながらあまり効果がないことが分かっている。直射日光を遮る効果はあるが、車内温度は相変わらず命の危険性があるまま。車の再始動から早く車内温度を下げたい場合は、エアコンをかけっぱなしにして窓を全開にしてしばらく走行することが勧められている。

■冷却人工芝で表面温度マイナス20度

 家の周りをハイテク芝で冷やしてしまうという取り組みが注目されている。「COOOL」(福岡県宗像市)という会社が有明高専と共同開発した冷却目土「寒土」。これを人工芝の下に敷き詰めることで、表面温度を従来の人工芝より最大マイナス20度程度まで下げることができる。

「寒土とは、寒水石、ココピート、木の樹皮などをブレンドした100%天然素材の土です。雨水や夜露の揮発効果で温度が下がる仕組みになります。もともと競技場などの使用を想定して開発しましたが、個人宅の庭やバルコニー、ビルの屋上や中庭スペースに敷くケースも増えております」(同社広報担当者)

 話題の「SDGs」にも合致しており、なんとサッカーのイニエスタ選手も自宅バルコニーの芝を同社の「COOOL TURF」(商品名)に張り替えたという。

■補助金を使って断熱リフォーム

 冷却芝ばかりでなく、自宅に断熱材を入れるだけでも室内温度は2~4度下がるとされる。自治体によっては、自宅リフォームの際に補助金を支給。例えば、「既存住宅における断熱リフォーム」は上限120万円まで補助される。断熱材や断熱窓などが対象だ(予算消化で終了)。

 自力での熱中症対策にはさすがに限界があるので、こうした最先端技術も上手に活用してみたい。 

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