知られざる「英国の素顔」 国民性や習慣を“英国で最も有名な日本人シンガー”が解説
インフレに合わせて給料はすぐアップ 医療費も無料
ここからは社会福祉など国のシステムについてだ。
──ものすごいインフレだけど大丈夫?
インフレ率はついに10%を突破し、電気代だけでなく、あらゆるものが値上がりしています。個人的にはオリーブオイルや洗剤、ビニール製品などが高くなっているという実感です。ただ、イギリスのすごいところは、インフレ率に合わせて給料も上がること。日本では信じられませんが、イギリスでは「これだけ物価が上がったら暮らせないでしょ?」と、当たり前の感覚なのです。
コロナの給付金も、ロックダウン開始の2週間前に「過去の収入の8割を向こう3カ月間一括でお支払いします」とメールが届き、即座に振り込まれました。しかも、この対策は1年以上続きました。受け取るのに混乱はなく、給付金詐欺なども起こらず、むしろ「遊んで暮らせてラッキー」といった雰囲気。ただ、消費税20%など税金は高いんですけどね。
──医療はしっかりしているの?
英国在住者であれば、外国人であろうと年齢問わず医療費は無料です。ただし、医療を受けられるまで時間がかかります。初診から治療開始まで数カ月かかることも。重い病気なら手遅れにならないか不安になりますが「数カ月で死んでしまうならすでに手遅れ。そんな弱い生命は淘汰されて当然」と医師が平然と言います。
私も、かつて2階建てのロンドンバスに乗りそこね、頭から落ちて気を失い、病院に運び込まれて2時間以上経過して目を覚ましましたが、治療を受けた痕跡はなし。その30分後にようやく医師が来て、「今日は忙しかったからごめんね。大丈夫、これくらいじゃ死なないよ」と謝りもしません。順番は順番なんです。その代わり、特別料金を払えば優先的に診てもらえます。イギリスでも物を言うのは、お金なんですね。