著者のコラム一覧
田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

麻布がデッドラインを死守したカラクリ…入試倍率“2倍”をギリギリでキープ

公開日: 更新日:

■今年も大幅に減少

「御三家は小学校の学年上位の数人だけが受ける超進学校。いくら倍率が下がったからといって、難易度が緩和されるわけではない。ただ、麻布が2倍を下回るなどこれまで聞いたことがなく、受験業界の人間たちも一様に驚いた」(学習塾幹部)

 結局、事件は起こらなかった。2月1日に行われた入試は2.16倍と、かろうじてデッドラインを守った。前出のOBも含め、関係者たちの多くは胸をなで下ろしたが、実はこれにはカラクリがある。昨年の受験者数は前年から84人も減り796人に。そして今年は737人と「耳にしたことがない水準」(塾幹部)まで落ち込んだ。ではどうやって2倍台を保ったのか。合格者数を減らしたのだ。この5年間の推移を見ると、377→371→365→352→340人となっている。

 入試判定はトップシークレットだが、麻布の元教員は「倍率を維持するために合格者数をいじることはありえない」と話す。ただ、生徒の質は維持しなければならない。試験内容によって合格最低点は上下するにしても、難易度は変わらないというのだ。つまり、「学校側が考えるハードルに達する受験者が少なかっただけのこと」と元教員は合格者数が減った理由を推察する。一方、前出の塾幹部は「合格者数減から麻布のレベルの下降が読み取れる」という。麻布の定員は300人。今年の場合でいえば、40人が他の学校に逃げていくと想定していることになる。その相手の1番手は最難関の筑波大付属駒場(中学定員120人)だ。

■関連キーワード

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    「備蓄米ブーム」が完全終了…“進次郎効果”も消滅で、店頭では大量の在庫のお寒い現状

  2. 2

    参政党トンデモ言説「行き過ぎた男女共同参画」はやはり非科学的 専業主婦は「むしろ少子化を加速させる」と識者バッサリ

  3. 3

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  4. 4

    東京・荒川河川敷で天然ウナギがまさかの“爆釣”! 気になるそのお味は…?

  5. 5

    参政党さや候補のホストクラブ投票キャンペーンは、法律的に公選法違反になるのか

  1. 6

    国保の有効期限切れが8月1日からいよいよスタート…マイナ大混乱を招いた河野太郎前デジタル相の大罪

  2. 7

    「イネカメムシ」大量発生のナゼ…絶滅寸前から一転、今年も増加傾向でコメの安定生産に黄信号

  3. 8

    悠仁さまのお立場を危うくしかねない“筑波のプーチン”の存在…14年間も国立大トップに君臨

  4. 9

    コメどころに異変! 記録的猛暑&少雨で「令和の大凶作」シグナルが相次ぎ点灯

  5. 10

    「関東大震災」「阪神大震災」「東日本大震災」発生時のジンクスにネットがザワめく複雑理由

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本中学生新聞が見た参院選 「参政党は『ネオナチ政党』。取材拒否されたけど注視していきます」

  2. 2

    松下洸平結婚で「母の異変」の報告続出!「大号泣」に「家事をする気力消失」まで

  3. 3

    松下洸平“電撃婚”にファンから「きっとお相手はプロ彼女」の怨嗟…西島秀俊の結婚時にも多用されたワード

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    俺が監督になったら茶髪とヒゲを「禁止」したい根拠…立浪和義のやり方には思うところもある

  1. 6

    (1)広報と報道の違いがわからない人たち…民主主義の大原則を脅かす「記者排除」3年前にも

  2. 7

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  3. 8

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  4. 9

    自民党「石破おろし」の裏で暗躍する重鎮たち…両院議員懇談会は大荒れ必至、党内には冷ややかな声も

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」