「勝つ者が許されない世界=日本の税制」の現実を知る
ここは都内某所の雀荘。バブルの狂騒が冷めやらぬ、平成初期の“あるある風景”だ。
「場代は全部で9万3000円です。よろしくお願いします」
店主の残したメモを見て、メンバーたちを虚無感が襲う。
「結局、勝ったのは雀荘だけか……」
麻雀を始めたのは仕事終わりの金曜日の夜。いつものメンツで取ったり取られたり。最初は半荘8回の予定だった。しかし、気付けば2昼夜ぶっ通し。
「だって、負けてるヤツがやめないんだよ」
「レートを倍にして、あと4回!」
完全にキリがなくなっている。
しかし、そんな「誰もが勝てない仕組み」が、現実にも起こってしまった。それは会社役員が「競馬ソフト」の利益を申告しなかったという話だ。
当局に指摘され、1億円以上の納税。もちろん競馬は、基本的にハズレ馬券は経費として認められない。的中馬券の利益のみに課税される。