猫のトイレ選びを考える…健康面でベターなのは砂よりシーツ
便に砂がかけられると、吸水性のよさで便がすぐに乾燥するため、気づいたときには軟便が普通の便になりやすいほか、脱臭効果で臭いの違いも分かりにくいのです。
尿も便と同様で、ペットシーツなら消臭効果が弱いので、いつもより強い臭いに気づきやすく、シーツに染みた色の濃さなども目で見て分かりやすい。薄型ならいろいろな病気で尿量が増えたこともチェックできる可能性があります。
「ペットシーツに染みた尿がシャリシャリしているように見えます。持ってきたので、診ていただけませんか?」
当院で実際にあったケースです。かかりつけの方からペットシーツを受け取って確認すると、確かに粉状の粒子が多数付着。尿検査の結果、その粒子はドライフードやおやつに添加されたミネラル成分の過剰摂取による結石と判明しました。結石を溶かす溶解用フードに変更したら、大事に至らずに済んだのです。尿結石の初期は無症状であることも多く、早期発見でしたが、猫砂でこのようなことは期待できません。
ペットシーツは臭うがゆえにすぐ交換するため、部屋の雑菌は増殖しにくくなります。逆に猫砂の抗菌効果は開封前がピークで、開封すると時間とともに酸化して劣化。それなのに消臭効果から雑菌が増殖しやすい環境が維持されます。
猫砂メーカーの努力はすばらしいですが、その努力がネコちゃんの体調を分かりづらくしていることもあるのです。
(カーター動物病院・片岡重明院長)