特殊清掃員が見た「孤独死」の壮絶現場…発見まで2年、遺体は“粉”に「誰にでも起こり得る」
4年間修行を重ね僧侶に
発見まで2年を要した孤独死のケースもある。分譲マンションの持ち家で、口座に残高があり、ローンや電気代、ガス代などの自動引き落としが続いていれば、外から異変に気づくきっかけは少ない。その現場では、2年後には遺体が乾燥し、体の一部が木屑のような『粉』状になっていたという。
「最初に虫がわいたあと、ゴキブリやネズミが発生して、侵入経路があればハクビシンやイタチが住み着く。そして空き家状態になった部屋にはホームレスが住みついてしまう」
遺品整理の現場では、仏壇や故人の人形などを供養する際、僧侶との日程調整に苦労することも多かった。そこで亀澤さんは、仕事を続けながら4年間修行を重ね、2022年に僧侶になった。
「自社でできたら一番効率もいいし、これ自分でやったらいいなと思ったんです。もともと説法を聞くのも好きでしたし」
僧侶になってからは、現場で故人に手を合わせるようになった。
「遺族の方ですら入れない現場でも、『僕たちがきれいにするからね』って手を合わせるようになりました」
友人からは「悪霊がつくんちゃうん?」と言われることもあるという。それでも亀澤さんは、「故人の方には、めちゃくちゃ感謝されている自信はあります」と言い切る。
特殊清掃が終わっても仕事は終わらない。部屋には、故人が生きてきた証しともいえる遺品が残されている。
「遺品整理の作業を始める前にご遺族へ『大切なものがあれば教えてください』とお聞きします。印鑑や通帳、保険証券、株券などは、言われなくても『これは捨てたらあかん』と全部取り置いておきます」
日々、遺品整理に携わる亀澤さんに終活のコツについて尋ねると、「買った時の思い入れや値段があるから、なかなか捨てられないものですよね。でも、2年使っていないものは処分していいと思います」と語る。
「まさか自分の身にこんなことが起きるとは思ってもなかった」
亀澤さんが、遺族から何度も聞いてきた言葉だ。孤独死は、他人事ではない。家族にも、親戚にも、友人にも、そして自分自身にも起こり得る。
「いつ自分の身に起きるか分からないですよ。もし疎遠になっている親戚や知り合いがいるなら、一度連絡を取っていただきたいです」
特殊清掃の現場で数多くの孤独死を見てきた亀澤さんの言葉には、人とのつながりを絶やさないでほしいという思いが込められている。
(取材・文=浦上優/ライター)
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