「中上健次 路地のビジョン」渡邊英理著│中上健次の人生の軌跡と作品世界を読み解く入門書
「中上健次 路地のビジョン」渡邊英理著
中上健次(1946-92)は、戦後生まれで初めて芥川賞を受賞した作家。四半世紀に及ぶ執筆活動において、氏の作家としての評価を高め、実力派作家の位置を定着させたのは「路地」を巡る小説群だった。
路地とは、氏の生地である和歌山県新宮市の被差別部落をモデルに仮構された虚構の空間である。中上における路地は、差別や(再)開発を表象する虚構の空間であり、そこには戦後日本社会の姿が、氏独自の周縁的視野から描き出されているという。かつ路地は、氏の文学的かつ理論的、思想的なビジョンだった。
文学の形で氏が残したビジョンには、あらゆる差別を超えて、脱差別的で無支配で無権力への希求があり、暴力なき地平への祈りがあるという。
本書は、そんな中上の人生の軌跡と作品世界を読み解く入門書。
(岩波書店 1056円)


















