円安進行「傍観」の黒田日銀総裁の意外な過去 かつては市場介入に積極的だった!
国民は物価高を容認している──などトンデモ発言で注目された黒田総裁は、円安進行に危機感がないのか。政府内外でこんな声が出ている黒田総裁だが、かつては市場介入に積極的な姿勢を示していた時もあった。大蔵省国際金融局長だった1998年だ。
日本の円相場は90年代半ばに1ドル80円台前後で推移していたものの、95年の阪神大震災発生以降、徐々に円安が進行。98年には130円台半ばまで進んだ。この時、日銀は4月9日、10日と2日間にわたって「円買い・ドル売り」の市場介入を実施。98年5月の「衆議院・緊急経済対策に関する特別委員会」で、この理由を問われた黒田局長はこう答えていたのだ。
《個々の介入の金額あるいはその効果等につきまして申し上げることは、マーケットに不測の影響を与えるおそれがありますので差し控えたいとは存じますが、一般論として申し上げますと、介入は、当然のことでございますが、相場の行き過ぎに当局としての明確なメッセージ、シグナルを送るという意味が一つございます》
《我が国経済としては為替相場の安定が非常に重要であるということで、今後ともその動向については十分注視して、行き過ぎた円安につきましては、やはり適時適切に対応していく必要があるというふうに考えております》
いやはや、食品はもちろん、あらゆる生活関連品が値上がりし、庶民から悲鳴が上がる中、今こそ、黒田日銀は「我が国経済としては為替相場の安定が非常に重要」「行き過ぎた円安について適時適切に対応していく必要がある」のではないか。